郡和子のコラム

2006年01月31日(火)

外務大臣の発言とは思えない

麻生外務大臣が
靖国への天皇の参拝に言及した。
先週末、公明党の参議院議員の後援会の会合で話したと言う。

海外のメディアも速報で伝えた。

およそ、この国の『外務大臣』の発言とは思えない。

昭和天皇は戦後8回靖国に参拝したが、
A級戦犯が合祀されてからは一度も行っていない。

天皇陛下も驚いたに違いない。

戦後60年の節目で、去年、サイパンを訪れ、
事前まで予定を発表せず朝鮮半島出身者の慰霊塔にもお参りした
そのお気持ちを、麻生氏はどう捕らえていたのだろう。

外交の責任者が、
小泉さんの参拝問題でアジア外交が八方塞なのを知っていながら、
自らそれを打開するのが仕事であるのに、
びっくりを通り越す発言だ。

このような人に外交のトップを任せておいて良いものだろうか。

日記に少し前、ドイツの戦後の歩みについて触れたが、
あのドイツの国是は「謝罪と記憶」
だからこそ周辺国との友好関係を構築できたというが、
日本は「謝罪」も不十分、
「記憶」は捏造も可能状態。

これでは、「中国脅威論」どころか、
「日本脅威論」のほうが正しい。


2006年01月28日(土)

政治と世論とマスコミ

世論はいかにして誘導されるか。
マスコミが大きな影響力を持つ。

今、マスコミは、盛んに堀江氏の功罪を伝えている。

それに連動して、「改革見直しを」との声が、50,6%と
過半数を占めたとのことだ。
加えて、「勝ち組・負け組」に象徴される経済格差について、
「広がっている」との声が、75%になった。

思い出してみよう。
「改革を止めるな」
小泉さんが、そして、堀江氏をはじめとする刺客が、選挙中、口々に言った言葉である。
そして、有権者のみなさんはその小泉さんに衆議院の3分の2の議席を与えたのではなかったか。

総選挙の折のマスコミ報道をもう一度検証したい。

「小泉劇場」というものを形成したのは、他ならぬマスコミであった。
小泉さん自身ではない。
なぜなら、小泉さんのやったことは民主主義を否定する暴挙であり、静粛であり、説明放棄であったのだから。
公平公正といいながら、改革の中身を論じることなく、小泉改革=善としてはいなかったか。
公務員バッシングの流れを作ったのも、他ならぬ、マスコミ各社の社説をはじめとする報道であった。

選挙中伝えてほしかった格差拡大の問題やアメリカからの執拗な内政干渉について、殆ど報じることなく、選挙が終わってから、年金の問題や少子化の問題、税金の問題、財政赤字の中身を少しずつ報じたのである。

本来、マスコミは、権力に対する監視の使命を持つ。
戦前、戦争へ加担をした反省は生かされていなかったと、改めて感じる。
世論を恣意的に誘導してはならない。

自立した市民の声が世論を形成し、それがマスコミを動かし、政治を動かすのが道理だ。

残念ながら、そうはなっていないのである。

では、市民・国民は自立していないのだろうか?
いや、そうではなかった、と、思う。
心ある人たちは嘆いていたはずだ。そして、迷っていた人たちをマスコミが誘導した。

ところで、マスコミは、今、小泉改革勢力べったりから舵を切ったのだろうか。

総裁選をにらんで動き出した自民党の流れを誘導するものかもしれない。
あるいは、騙されたかもしれないと気づいた「世論」が、マスコミを動かし始めているのかもしれない。

しかし、マスコミに長く席を置いたが、私はまだまだ懐疑的だ。
しばしば、マスコミの良心は、広告費の多寡において、締め付けられるのだから。

世論を形成するのは国民一人ひとりの声であり、聞こえてこない声かもしれない。
「世論」は「私たち」がつくる、ものだ。
そして、残念ながら、「世論」が「権力」に対しその力を実行するには大変な労力が必要なのだ。
けれど、その「労力」を厭わず声を上げていくことが大切なのだ。
迷ったら、騙されていないか、立ち止まって、考えよう。

マスコミ権力をチェックする世論形成も、しかり。
大変な労力が必要だが、絶対になくてはならないものなのである。

私たちの権利を守るためにも。


2006年01月23日(月)

ホリエモン逮捕のタイミング

テレビの取材カメラが並んでいる。

「あ、ここが、六本木ヒルズですか。」
夜、車で、六本木ヒルズ前を通る。

ライブドアの堀江社長が逮捕され、取材陣が走っていた。

「日本で『ライブドアの商法』が生まれてくるような株主重視主義経営を推進する改革派の制度改築に対抗しないで、従業員重視の日本的経営の伝統を守ろうとしなかったことが、問題だった。」

イギリスの日本研究の第一人者、ロナルド・ドーア氏の前述のような論文が新聞に掲載されていた。

エンロン型の事業拡大・不当利益獲得のための粉飾決算よりも、倒産寸前で従業員を守ろうとした山一證券の日本型粉飾決算がまだましだとも、氏は言っている。

これまで、小泉総理大臣・竹中大臣・武部幹事長らがもてはやしていたものはなんだったのか、今一度、考えなくてはならない。

以前、「プロ野球の新規参入を仙台で」、と発表したときには、楽天の三木谷社長との戦いに、個人的には堀江社長を応援したいと思ったのを思い出す。
何しろ、いち早く、地元、仙台に、ずーっと待っていたプロ野球球団を作ってくれると、表明してくれたのだから。

ネクタイをせず表に出て行動する堀江氏を、新しいタイプの指導者と思ったし、
言動も夢を抱かせるものがあったと思う。
加えて、大好きなサッカーチーム、ベガルタ仙台にも参入して資金を投入してくれそうな気配だった。
そうしてくれれば良いのに、と、本心思ったものだ。

しかし、買収を繰り返し、その拝金主義が前面に出でてくると、それはいかがなものか、とも、思ったものである。

額に汗し働く従業員、信頼して応援する安定的な株主、この関係を重視せず、目に見えないもので会社の時価総額を増やすことが、本当に国際的に評価の高い企業なのだろうか。

そして、今日だ。

粉飾決算と風説の流布、株主至上主義でありながら、株主を欺いていたことになる。

小泉総理大臣は、規制緩和を進めたこととこの事件は関係がない、と、断言した。
法を守らなかったことが悪いのである、と。
頑張る人を増やすためにも更なる規制緩和は必要、と。

小泉総理の「頑張る」とは、どういうことをさしているのだろう。

それにしても、なぜ、逮捕が、今日、だったのか。
しかも、夜、だったのか。

1、23
逮捕のタイミングのヒントはあるか?
考えている。


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