郡和子のコラム
2006年01月28日(土)
政治と世論とマスコミ
世論はいかにして誘導されるか。
マスコミが大きな影響力を持つ。
今、マスコミは、盛んに堀江氏の功罪を伝えている。
それに連動して、「改革見直しを」との声が、50,6%と
過半数を占めたとのことだ。
加えて、「勝ち組・負け組」に象徴される経済格差について、
「広がっている」との声が、75%になった。
思い出してみよう。
「改革を止めるな」
小泉さんが、そして、堀江氏をはじめとする刺客が、選挙中、口々に言った言葉である。
そして、有権者のみなさんはその小泉さんに衆議院の3分の2の議席を与えたのではなかったか。
総選挙の折のマスコミ報道をもう一度検証したい。
「小泉劇場」というものを形成したのは、他ならぬマスコミであった。
小泉さん自身ではない。
なぜなら、小泉さんのやったことは民主主義を否定する暴挙であり、静粛であり、説明放棄であったのだから。
公平公正といいながら、改革の中身を論じることなく、小泉改革=善としてはいなかったか。
公務員バッシングの流れを作ったのも、他ならぬ、マスコミ各社の社説をはじめとする報道であった。
選挙中伝えてほしかった格差拡大の問題やアメリカからの執拗な内政干渉について、殆ど報じることなく、選挙が終わってから、年金の問題や少子化の問題、税金の問題、財政赤字の中身を少しずつ報じたのである。
本来、マスコミは、権力に対する監視の使命を持つ。
戦前、戦争へ加担をした反省は生かされていなかったと、改めて感じる。
世論を恣意的に誘導してはならない。
自立した市民の声が世論を形成し、それがマスコミを動かし、政治を動かすのが道理だ。
残念ながら、そうはなっていないのである。
では、市民・国民は自立していないのだろうか?
いや、そうではなかった、と、思う。
心ある人たちは嘆いていたはずだ。そして、迷っていた人たちをマスコミが誘導した。
ところで、マスコミは、今、小泉改革勢力べったりから舵を切ったのだろうか。
総裁選をにらんで動き出した自民党の流れを誘導するものかもしれない。
あるいは、騙されたかもしれないと気づいた「世論」が、マスコミを動かし始めているのかもしれない。
しかし、マスコミに長く席を置いたが、私はまだまだ懐疑的だ。
しばしば、マスコミの良心は、広告費の多寡において、締め付けられるのだから。
世論を形成するのは国民一人ひとりの声であり、聞こえてこない声かもしれない。
「世論」は「私たち」がつくる、ものだ。
そして、残念ながら、「世論」が「権力」に対しその力を実行するには大変な労力が必要なのだ。
けれど、その「労力」を厭わず声を上げていくことが大切なのだ。
迷ったら、騙されていないか、立ち止まって、考えよう。
マスコミ権力をチェックする世論形成も、しかり。
大変な労力が必要だが、絶対になくてはならないものなのである。
私たちの権利を守るためにも。
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