郡和子のコラム
2007年08月16日(木)
薬害肝炎問題
7月31日、薬害肝炎訴訟の名古屋地裁は、因果関係が認められる原告のすべての請求を認め、国、三菱ウェルファーマ、ベネシス、日本製薬に対して賠償を命じました。画期的な判決でした。しかし、その後の国の対応は…。
厚生労働大臣は被害者の皆さんとの面談を拒否、肝炎対策一般についても、担当者は「政府与党・関係各局・官邸と検討中」としか繰り返しません。その与党のプロジェクトチームは「今までの延長線上でない対策を」と、極めてあいまいでやる気があるのかないのかはっきりしない対応です。
薬害肝炎は、血液凝固剤フィブリノゲン・クリスマシンの投与を受けたためにC型肝炎ウィルスに感染したというもので、原告は出産時の出血をとめるために製剤を投与された女性が多いのが特徴であり、慢性肝炎から肝硬変、肝がんに進んだ被害者も少なくありません。判決を待たず亡くなった方もいます。
今のところ、代表的な治療はインターフェロン療法ですが、発熱や副作用の問題、何より、高額な治療費と通院費(先日お話を伺った被害者の方は、明日の治療費を稼ぐために今日無理して働き、治療を終えてまた治療費のために働く、その繰り返し、と話されていました)、経済的にも肉体的にも、そしてウィルス感染者に対する偏見も根強く精神的にもまた負担が大きいのです。
統計によりばらつきはありますが、日本に200万人の感染者がいるとも言われています。しかも、毎日多くの人が亡くなっている待ったなしの問題です。
医療機関での検査体制を無料で拡充すること(現在は保健所でやっていると厚労省は胸を張りますが)、また罹患した被害者に対する医療補助、生活支援など緊急措置法が必要ではないかと考えます。
ところで、日本ではご存知のようにこれまでも何度も何度も薬害が繰り返されてきました。
そして、二度と薬害を起こさない誓いをこめた厚生労働省前の薬害エイズ解決時に立てられた「薬害根絶の碑」。職員は一体どのような思いで刻まれた文字を見ているのだろうと情けない思いがしてなりません。
医薬品によって感染させられた人々の苦しみを知り、国は英知を集め手をさし伸ばさねばならないはずです。
その誓いがあの碑に刻まれています。
社会全体に薬害肝炎問題を認知させ、一日も早く多くのキャリアを見つけ治療に結びつけること、そして、罹患している人たちに対する国の責任を果たすこと、私も裁判の全面解決を図るために頑張りたいとおもいます。
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