郡和子のコラム

2007年11月24日(土)

混合診療禁止に法的根拠がないの判決

先日(11月7日)、東京地裁が踏み込んだ判決を出しました。

患者に公的保険が適用される保険診療と、保険が適用されない自由診療を併せて受ける「混合診療」を原則禁じた国の政策は合法かどうかが争われた訴訟の判決です。東京地裁は、「混合診療の禁止に法的根拠はない」との判断を示したのです。

現在、国は患者が混合診療を受けた場合、保険適用分の診療費も自己負担としているのですが、今回地裁は保険適用分は給付を受ける権利があるとしました。

新しい手術方法など「特殊療法」や「未承認薬の使用」は保険と併用して行うことは「保険医療機関及び保健医療養担当規則」で禁じられています、しかし、あくまで規則、法的な根拠はない、のかもしれません。

現状は、薬の場合、世界のベストセラー上位100の薬のうち日本では30%が使えず、アクセスできないと患者の側からの解禁に向けた要望が少なくないのも承知しています。

しかし、混合診療が解禁されれば、医療の現場にさらなる格差が生まれ公的保険制度が崩壊してしまうことになります。医療の機会の均等も図れなくなる。
そこに民間保険が参入して、まさに、ムーア監督のアメリカの医療を批判した映画「シッコ」の状況に日本もなってしまうのは想像に硬くないのではないでしょうか。

未承認薬の承認が進まなかったり、先進医療制度の問題もあり、受けたい医療や薬が使えないとの問題の解決を図るのには、現在の公的保険制度を守りつつ、患者・被験者の保護を担保し、承認のスピードをあげられるように治験や先進医療を臨床試験を統合して推進するべきと考えます。

政府与党も「早期の承認を」と努力を進めてきましたが、根本の解決にはなっていません。
私自身、この問題の根本解決に向け、今、全力で取り組んでいるところです。
その時の最善の治療を、誰しもが、早く確実に安価で受けられる制度、知恵を絞りたいと思います。


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