郡和子のコラム

2008年03月25日(火)

やはり、消えていた年金

<やはり消えていた年金記録>
国民年金の保険料の納付をした領収書が残っているのに社会保険庁のコンピュータや紙台帳に記録が一切ない「消えた年金」が、2007年9月の時点で1541件あることがわかりました。
今日の一部新聞に大きく報じられています。

政府・与党が「年金は消えていません」と参議院選の折にも不安をあおるなと大々的にPRしていたことを覚えていらっしゃると思います。
これに対して、私たち民主党が、実際「消えている」例があるではないかと社会保険庁に資料請求して、やっと出てきたのが1541件という数字でした。

新聞には、昨日の自民党の年金問題に関する検討会で報告された、とされていますが、私たちの要求に対し私たちに回答する前に、要求もされていない自民党へ報告し、それが記事になったのですから、当然のことですが、今朝の部門会議は最初から大荒れ、社会保険庁のこの対応へ抗議することから始まりました。
参議院の与野党逆転を受けても未だ自民党にお伺いを立て自民党の反応に従うお役人の習性なのでしょうか。

それにしても「消えた」年金記録があることを、社会保険庁自身が認めたことになります。消えていた記録は、去年の9月時点で1541件、重ねて言うようですが去年の9月の数字ですからもっと増える可能性が高いことは明白です。

<与党の参院選公約は守られない>
また、自民党の参議院選挙の折の公約であった「この春までの全員統合」がいかに現実味のないことだったか、つまりいい加減な公約だったかがいよいよはっきりしてきました。

5000万件の誰のものか分からない記録について、これまでに統合ができたもの417万件、統合の必要がないと確定した記録は648万件であると、今日改めて社会保険庁から説明がありました。
統合はわずか417万件にしかすぎません。さらに、統合の必要がないとされた①「死亡一時金を受給している記録」②「脱退手当金の受給等で新たな受給に結び付かないと考えられる記録」のケースの中にも、例えば①では、申請をしていないケースは給付に結び付かず、②では、実際に第3者委員会に申し立てがなされ脱退給付金を実は受け取ってなかったことが認められたケースが2件あった、など、統合の必要がないと確定したとの説明はごまかしでしかありません。
統合されるかもしれないケースなのであって、まだまだ調査が必要なケースは多いということです。
いったい何年かかるのでしょう。

<国家的詐欺の総額は?>
ところで、統合作業を進めようと、記録の持ち主である可能性が高い方々に対して、社会保険庁は「年金特別便」を送っています。すでに受給している方々232万646人、現役加入者の方123万8315人に送られましたが、訂正に結び付いた人は33万718人にすぎません。送られた年金特別便を見て訂正の必要はないと回答した人たち(本当は記録統合される可能性が非常に高い方々なのです)が、「年金額がそれほど増えるわけではない」「あまり関心がない」を理由に訂正なしと答えている例も少なくないことがわかりました。
年金額がそれほど増えるとは思えないのに面倒な手間に費やす時間はない、とでもいうことでしょうか。秋に出された分厚い調査報告書の中でも、いくら年金が国家にネコババされているのか、本来国民に給付されるべき正しい額は総額でいくらに上るのか、一切言及されていません。(新しい政府広報には、統合によって年3万円年金額が増えたという女性の例が掲載されていますが、全体でどのぐらいの額に上るのかこの期に及んでもはっきり示していないのです。)
本来の年金給付総額も至急表に出すよう部会で要求しました。

<消えた年金、そこから天引き、が始まる>
年金の状況がこのようであるのに、4月から、高齢者の医療制度が変わり、健康保険料が天引きされることになります。
原則月15000円以上の年金を受給されている人すべてからです。
保険料は全国平均で6000円ほどです。
いくら手元に残るのでしょう。これで食べていけるのでしょうか、暮らしていけるのでしょうか。

恥知らずで冷たい政治を、皆さんとともに変えていきたいと思います。


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