郡和子のコラム

2008年05月29日(木)

原爆症認定集団訴訟 仙台高裁判決

5月28日午後、ちょうど厚生労働委員会で審議を行っているときに、仙台事務所からメールが入りました。仙台高裁で行われた原爆症認定却下を取り消すよう求める仙台集団訴訟で、原告勝訴の判決が出されたことを伝えるものでした。

仙台高裁の判決は、全国15の地裁と6つの高裁で争われている訴訟の最初の控訴審判決で、政府は新基準「新しい審査の方針」を決め、今年4月から分科会での認定作業を進めていますが、仙台の原告お二人はこの分科会にもかけられていません。

判決の中で、井上稔裁判長は、「原因確率が低い数値であることのみをもって、放射線起因性を端的に否定すべきでなく、既往症、生活環境も勘案して判断すべきである」と、国の審査の方針を批判、放射性起因性を明確に認めてくださいました。
さらに、今回の裁判の最大の争点だった要医療性についても認め、「起因性と要医療性が明らかなのに争い続けた国の姿勢は、被爆者援護法の救済の精神に照らせば柔軟な対応にかけた」と、異例の言及をしたということです。

原告のお一人、波多野明美さんは、広島で被爆し82年に胃がんを患い胃切除後障害で現在も大変な思いをされているのを承知しているだけに、あの細い体で長い裁判をよく頑張ってこられたと、涙が出る思いでした。

一日たって今日、会館事務所に、仙台の裁判を支えた杉山弁護士、そして被団協の代表らがお見えになり、舛添大臣に対する申し入れ書を届けてくださいました。
「審査の方針」の再改定、そして、被爆者切り捨ての認定行政への反省と被爆者への謝罪などが書かれています。

新しい審査の方針では、被爆者の方々への不合理な線引きが行われ、また、認定を受ける疾病も限られていて、裁判で勝訴したとしても被爆者と認められないケースも出てくることを、被団協、弁護団も心配されていました。

2002年の集団提訴以来、すでに48人の原告の方がなくなりました。
命を懸けた戦いを終結させられるよう、私も力を注ぎたいと思います。


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