郡和子のコラム

2008年05月05日(月)

子どもたちの未来のために 投資を「コンクリート」から「人」へ

15歳未満の「子ども」の推計人口が発表になりました。
昨年より13万人少ない1725万人。
27年連続で減少を続け過去最低を更新したそうです。
総人口に占める子どもの割合も13.5%で、こちらも過去最低となったと伝えています。
生まれてくる赤ちゃんの数は減る一方です。

実は、昨日、生まれてまだ日の浅い従妹の赤ちゃんを見に行ってきたばかりです。
とても小さな愛くるしい赤ちゃんを、新米パパとママがあやしていました。
真っ赤な顔をして伸びをしたり泣いたり、口元をほころばせてうつらうつらしたり、時間を忘れ表情を眺めてしまいました。小さな赤ちゃんを見るのは本当に久しぶりのことです。

産みたいと思った人がその希望をかなえられる社会、日本はいつの間にか、それができにくくなっています。

政府がどれだけ「児童・家庭関係の社会支出」をしているかを比べれば、その国の子育て支援の姿勢が見えてきますが、日本はGDPに占める割合は僅か0.75%、諸外国は2%から3%台です。
2003年のフランスの家族関係支出は、7兆1300億円、これを日本の子どもの数に当てはめると10兆6000億円支出することになるのですが、残念ながら日本の支出は3兆6800億円でしかありません。
また、フランスの出生率回復の背景をみてみると、手厚い家族政策、多様な保育サービスや育児休業など、充実した両立支援に養育費の負担軽減につながる教育政策、そして、労働時間の短縮やワークライフバランスに配慮した労働政策など、総合的でダイナミックな政策パッケージを用意しているのです。

私たちは0歳から中学卒業までの一人一人の子どもに2万6000円の子ども手当を支給することをはじめ、多様なライフスタイルを選択できる社会をめざして「未来世代応援プラン」を打ち出し、私も提案者になって法案を繰り返し提出していますが、残念ながら結果に結び付いていません。

夫が育児に協力的だと第2子の誕生にも結び付くというデータもありますが、ワークライフバランスや男性の育児休業も、また、実効的な育児支援もなかなか広がらないのが現状です。
とりわけ働く女性にとって、出産や育児で仕事を中断することが、キャリアに結び付きにくく、賃金面でも男女格差が広がってしまうことで、二の足を踏む女性も少なくありません。一度退職すると、次の就職はパート、しかも、同一価値労働同一賃金がなかなか進まないことも理由の一つでしょう。

出産可能な医療機関の減少や保育環境、教育への負担など、複合的な問題が重なって、未来へ展望が開けない状況ですから、少子化に歯止めがかからないのは当然でしょう。

その少なくなった子どもたちが、外遊びをしなくなっているとのニュースにも、心が痛む思いでした。
全国国公立幼稚園長会が実施した調査で明らかになったもので、幼稚園児の14%が外遊びをしないという結果だったということです。
習い事をする子どもが増えていることや、親が安心して遊ばせられると感じる場所が減っていることなどが背景にあるのでしょう。
調査した国公立幼稚園長会では「結果として子どもの体力低下につながっているのではないか」と話していいます。

国の公共投資の在り方を、これまでどおり「道路」に代表される「コンクリート」にするか、あるいは「人」にするのか…。
財政支出を大きく変えていく局面にきているのだと感じずにはいられない、子どもの日です。


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