郡和子のコラム

2009年03月27日(金)

民主主義のコスト

政治資金規正法違反事件で東京地検特捜部が小沢代表の公設秘書を起訴しました。
真相を解明するのは司直の手に委ねられることになりますが、小沢代表が続投を表明してたことに対して、皆さんから様々な意見が寄せられています。

また、企業からの献金は「悪」ととらえられ、全面禁止すべきとの声も高まっているように思います。

本当に企業からの献金は「悪」なのでしょうか?

まず、事件に対する私の気持ちを確認するために、小沢代表の秘書が起訴されたその日の私の日記から抜粋いたします。

「大久保秘書が、あくまで逮捕事実についての起訴であったことは、予想を超えるものではなかった、その上で、逮捕事実のような比較的軽微な「形式犯」での今回の起訴には、やはり、大きな違和感を禁じえないと、そう思っています。
汚職であれば当然排除すべきことですが、政治資金の入り口から出口まで国民の皆さまに対し透明性を図っている今回の事案、虚偽記載があったかどうかは今後の裁判にゆだねられますし、まだ真実が分からない中で政治資金は「賄賂」と同じ「悪」だとして排除すべきとなると、実際、政治資金規正法の持つ意味はなんだろうと、考えざるを得ません。

いわゆる裏金としての迂回献金とは全く性質が違っていて、政治と金をめぐる自民党のあしき慣習の、あの一億円の日歯連事件でさえ、橋本氏は不問だったことを考えると、今回の起訴は、すとん、と、落ちてこないのです。
あの事件とは今回同列のものではないのですから。

もちろん、自民党的なものをそこに感じ、ご批判につながっているのでしょう。

確かにゼネコンからの寄付であり、その額の大きさには驚きを隠しきれません。だからといって、裏金で私腹を肥やしていたわけではないのです。ましてや、便宜供与、贈収賄ではなかったのです。

でも、今回の問題は、政治資金規正法の基本理念である政治家の自主自立による政治活動と政治資金の透明化への取り組みについて、まだまだだと、多くの教訓を与えたと認識します。
そのことを肝に命じ、より分かりやすい抜本的な見直しに取り組むべきと思います。」
というものでした。

重要なのは、資金を提供する側と政治家の関係がフェアであるかどうかではないでしょうか。
企業献金がダメなら個人献金はいいのか、企業からなのに個人名を使っていれば許されるということになるのでしょうか?
ならば、個人献金も禁止し、政党助成金、議員報酬で賄うべき、ということになるのでしょうか?

政治にはお金がかかっています。
私も、通信物をお送りしたり報告会を開いたり、有権者の皆さまとのいわばコミュニケーションにかかるコストは、ばかになりません。民主主義実現・実践のためのコストです。
活動すればするほどその額は増えていきます。
地元事務所やスタッフを抱えるコストもそうです。
私財をなげうって政治をやるんだ!と、高尚なことを言う方もいますが、では、貧乏人は政治家にはなれないのでしょうか。私財のない人は政治家をやめた方がいいのでしょうか?

以前お邪魔した小沢代表の東京の事務所は、国籍も違う大勢スタッフがおり、忙しく立ち働いていました。献金されたお金はその費用にも充てられていたはずです。

政治には、民主主義には、なかなかご理解いただけないのかもしれませんが、コストがかかる。
それを、すべて税金で賄うとしたら、これまた、大変な額になることでしょう。

もとより私は、自民党長期政権の下で肥大した利益誘導型政治手法と、政官業の癒着構造という「旧い政治」の中で培われてきた不透明で脱法的な企業の献金手法のありようを良しとするものでは断じてありません。

必要な議論は、企業献金の全面禁止、ではなく、政治献金の「入り」と「出」の透明性を高めて、公正なフェアな政治資金の仕組みをつくることではないでしょうか。
有権者が献金の内容や実態をつまびらかに知ることのできる仕組み、企業からでも個人からでも、政治家との関係性が公正に保たれる政治資金の仕組みではないでしょうか。

最後に、もうひとつ、この間のマスコミ報道について触れさせてください。
連日小沢代表への献金の「悪質性」が報じられました。
日記でも簡単に書いていますが、「表の寄付」は収入も、支出の制約もあって、開示する義務がかけられています。しかし、「裏の献金」は勿論収入の総額にも含まれることなく、支出も制約がなく闇で使えるお金です。小沢代表の場合は「表の献金」です。しかも、贈収賄ではありません。マスコミの皆さんは何を持って「悪質」と判断しているのでしょうか。
また、検察、特捜は、何を持って「悪質」といっているのか、先日報道された説明だけでは納得できないと、指摘もされています。

また、起訴後「秘書は西松建設からの献金と認識していたと容疑を認める供述」と報じられましたが、仮に西松建設から献金した政治団体に対してお金が出ていたと認識していていたとしても、それだけでは直ちに現在の政治資金規正法に違反する虚偽記載にはならないはずです。
法律では、政治団体の献金の資金源まで記載するよう求めてはいないのですから。実際報告書にそんなことを書き込む記載欄はありません。ゆえに「容疑を認める」とは、おかしな報道ではないでしょうか?

いかにも、大本営発表を思わせ世論誘導を図るようなマスコミ報道に、私は不安を禁じえません。

政権交代は究極の国の情報公開だと、私はかねがね言っています。
そして、政権交代をしなければ、政・官の悪しき慣習が続き、民主導の政治、真の民主主義に結びつかないと思っています。政権交代は、緊張感で議員を大きく成長させることにもつながります。そして、それは何より、みなさんの視点に立ったみなさんの政治をつくることにつながるのだと思っています。

あくまで愚直に政権交代を訴え、これからも活動を続けてまいります。

長い文章を最後までお読みいただきありがとうございました。
頑張ります。


2009年03月06日(金)

トランポリン法案の早期成立を!

3月6日、雇用関連の3つの法律案を提出しました。
雇用保険法の一部改正案と、内定取り消し規制法案、そして、求職者支援法案です。
先ほど衆議院の事務総長へ提出し、記者会見を済ませたところです。
目玉は、求職者支援法。
雇用保険と生活保護との間にトランポリン型のセーフティネットを張ろうという日本ではこれまでになかった新しい制度の法律案です。
というわけで「トランポリン法案」と名付けてみました。

厳しい経済不況の中で、正規社員のリストラが始まり、加えて製造業派遣の契約期間が一斉に切れはじめる「2009年問題」が目の前に迫って、失業者は政府の予想を超えるスピードでさらに増加しそうです。
職を失った労働者が新しい産業で働くことができるようにする再就職支援が大きなカギになりますが、だからこそ、急ぎ、これまで党内で議論を進めてきた能力開発訓練中の生活を安定させる第二のセーフティネットを張るこの「トランポリン法」を取りまとめ、社民党・国民新党にも賛同をいただき共同して提出したわけです。

雇用保険の受給を終えてもまだ再就職が困難な方や、雇用保険のくくりに入らない廃業に追い込まれた自営業の方、契約切りの派遣労働者などがその対象で、再就職や新しい事業を始めるために必要な能力開発訓練を受けている間、最高で月10万円程度、扶養家族がいれば12万円程度の手当を支給いたします。
また、失業中の健康保険料の経済的負担が大きくなる場合、在職中の負担額を超える部分は減額し、保険者の収入については一般会計から補助することに致しました。

与党も私たちのこの新しい法律を真似したような制度を「検討」する旨が、今日新聞報道されましたが、ならば1日も早くこの法律案に賛同していただき成立をさせるべきだと思います。

折しも、昨日、警察庁が一月の自殺者が2645人だったと、月別の自殺者数の公表を初めて行いました。
厚生労働省の人口動態統計の08年の1月分と比べると340人増えています。
今後、経済のさらなる悪化で自殺者が増えるのではないか、早く効果的な対策を打たねばと、政治に対するメッセージと受け止めました。
昨年暮れ、自殺の名所と言われる福井県東尋坊で派遣切りにあった若者が所持金数百円で保護されたとのニュースもありましたが、たとえ仕事を失ってもやり直しをする準備期間は生活を支えよう、また、新たな職業能力を身につけ希望をつなげられる社会にしなければなりません。

ヨーロッパではすでにこうしたセーフティネットの制度が取られています。
日本にもトランポリン型のこのセーフティネットを整備させてください。
この「トランポリン法案」の早期成立を目指し、来週から国会で議論いたします。是非ご注目ください。

ところで、小沢一郎代表の秘書逮捕というニュースでは、皆様方に大変ご心配をいただき、申し訳ないと思います。
小沢代表の言葉を信じ、今後を見守るつもりです。
ただ、やはり、このタイミングでの東京地検特捜部の小沢代表への捜査、またその後の報道へのリークについては、多少の違和感を感じていることも付け加えておきます。
しかし、私たちはこの件で右往左往せず、生活が第一の政策実現のため政権交代を訴えていつもと変わらぬ活動を続け、必ず政治を変えると改めて決意したところです。
皆様にご理解をいただけるよう、なお一層努めてまいります!


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