郡和子のコラム

2010年07月18日(日)

厳しい結果を踏まえ ちょっと長くなりますが…

参議院選挙で民主党政権に対する厳しい審判が下りました。
与党過半数割れ、しかも、再可決が可能な3分の2の数を持たない衆議院ですから、政権運営は、残念ながら大変困難なものになってしまいました。
結果を真摯に受け止め、何を反省すべきか、そして、困難が山積する日本で、どのように政治を前へ進められるか、皆様方からご意見を伺いながら、党内でも議論を始めています。

消費税の問題を総理が語られたことが、無駄遣いに切り込むと言っておきながら「唐突」とのご意見も多くありました。

しかし、この国の財政が大変なのは、皆さんが良く知っていることです。
将来につけを残すな、その通りです。消費税10%をマニフェストに掲げた自民党が一人区で勝利したのですから、多くの皆さんがこのままでは難しいと、薄々でもお感じになっているのは間違いないのでしょう。
誤解されたのは、こども手当や農家の戸別補償について、「バラマキ」でありその「つけ」は「増税」として跳ね返る、との野党の指摘が誤りであることを、うまく説明できていなかったことが大きかったかもしれません。

例えば「こども手当」は、今後のわが国の労働政策および社会保障の制度設計に深く関わる重要テーマだったはずです。
というのは、いまや非正規雇用が雇用者の3分の1以上を占め、家計維持的な非正規労働者が増加しているなかで、労働しない扶養家族の生計費を、誰が、どう保障すべきか、という問題を提起しているからです。
わが国においては、EU諸国のように扶養責任のある部分を社会で分担する方向には向かわずに、正規労働者の扶養家族の生計費は、労働者の年齢と扶養家族数に基づく「家族手当」として主に「個別企業」が負担する構造が定着してきました。
しかし、そのプロセスにおいても、例えば1960年のいわゆる「所得倍増計画」では、年功賃金制度から職務給への移行や、中高年労働力の移動の円滑化を視野に、児童手当制度の確立が提唱されるなど、政府や経営者サイドにおいても「扶養責任の社会化」というべき政策指向があったことが指摘されています。
当時の政府が職務給への移行を提唱していた67年には、年功賃金制度から同一労働同一賃金への転換を見通しつつILOの第100号条約が批准されたのでした。
しかし、未だ日本は、同一労働同一賃金とは遠い世界にあります。これは、世界からも何度も厳しく指摘されていることです。
失業者、とりわけ長期の失業状態が改善されず、新たな雇用の創出を図っていかねばならない、また、ワークライフバランスに象徴されるひとりひとりの働き方の問題、共同労働という新たな需要、そして新しい公共という考え方、いずれも、日本の労働の在り方を今後形作っていく、生活を補償する重要な労働政策と「こども手当」はセットで提起する新しい考え方だったのです。
もちろん、こどもを産みたい人たちに産みやすくすることもありますし、脆弱だった「人生前半の社会保障」の充実であるわけで、所得制限については税制で調整をとっていこうという考え方です。

農業の戸別所得補償制度も国内で安心安全のコメや農産物を農家に作ってもらうことで食料自給率を上げることは、消費者の皆さんにこそその恩恵が行き渡るということです。

でも、徹底的に無駄遣いをなくすことだ、と、言っていたではないか。
その通りで、その決意は一分の揺るぎもありません。
衆目を集めた事業仕分けはまだ3000ある国の事業の15%を実施したに過ぎません。秋には特別会計にも切り込む予定ですが、何しろ限られた人数と限られた期間での仕分けは満足がいくまでに時間もかかります。
これまで予算を握ってきた財務省にこそ、先頭に立って無駄の切り込みやリストラの選択肢を示させるようにしなければなりませんし、国会議員の定数削減に取り組むのも当然のことです。

こうした政策についての理解は、実は皆さん、して頂いていたのではないでしょうか(思いあがりでしょうか?)
しかし、私たちに勝たせるわけにはいかない、そんな力が働いたとしたら、それは、やはり、この間、政権についてからの国会運営の在り方だったり、政治とカネの問題での対応であったり、こどもが大人の靴を履いて嬉しそうに歩いているようで、言葉の重さも含め政治家の責任を勘違いしてないか、分かっていないんじゃないか、というものではなかったかと思えてきます。

また、皆さんにとって一番身近な地方議員の数も圧倒的に少ない私たちです。地に足をつけた活動をさらに進めるためには、地方議員の仲間を増やす努力も欠かせないと思いましたし、風頼みでない選挙を勝ち抜くためにしっかりとした後援会組織を作ることも重要だと改めて痛感を致しました。

長くなりましたが、選挙区では、桜井充さんを一番で当選させられなかったこと、そして、伊藤ひろみさんを当選させられなかったこと、比例で県内では大石正光さんを当選させられなかったこと、申し訳なく思います。
その上で、昨年作っていただいた自民党でない新しい政権・新しい政治を、日本の未来に向け大きく育てていただくよう、皆さまにお願い申し上げます。
にっちもさっちもいかないような国会運営が予想されますが、また古い政治に逆戻りはさせられません。野党の皆さんとの丁寧な調整に私も一層努力することをお誓いいたします。
すでに、臨時国会召集前ではありますが、来年度予算の編成の概算要求をどのように組むべきかを、党内に復活した政策調査会の副会長として、議論を始めさせていただいています。責任を果たすべく頑張ります。


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