郡和子のコラム

2011年02月19日(土)

この国のゆくへを議論する

暦の上では雨水も過ぎ、春の兆しを日に日に感じる頃となりました。
いかがお過ごしでしょうか。

いつものようにめぐってくる春ですが、この春卒業予定の高校生、大学生の就職内定率は、まだまだ厳しい状況を改善できず、不安を抱える皆さんも多くいることに心が痛みます。
卒業予定者の皆さんやご家族のご心配、何とかしてほしい、という声を、さまざまなところでお聞かせいただきました。就職できない若者が多くいるということはこの国にとっても大きな損失だと思っています。

団塊世代が次々退職していて人手不足になり本来ならあまた就業先が出てきていいはずですが、現実はそうではありません。なぜなのでしょうか。

日本の人口の大きな塊である団塊の世代の退職、それは日本を動かすこの年代の皆さんの年収が減少し、消費の総額の減少に直結。
デフレがなかなか解消しないのも、いわば当たり前なのかもしれません。
内需産業の供給過剰感が広がる、そしてそれは商品やサービスの値崩れになってデフレスパイラルを起こし、内需対応産業の採算はさらに悪化する。
ですから企業の側は防衛のために採用を抑制することを考え、また人件費の抑制を進めざるを得なくなっている。

内定率が上がらないのはこうした構造に日本が陥っているからではないでしょうか。

悪循環です。

若者をしっかり雇用して賃金を払うということは、結婚して子育てを出来る状況を整えることになり、消費を増やすことにつながります。回りまわって内需産業の元気に結びつくのです。
不安定な雇用の低賃金就労者を増やすのではなく、生活できる所得を補償し内需を拡大させる努力を、企業にも求めたいと思います。
菅政権は、最低賃金をあげる、子育て環境を整える、厳しい経営の企業の応援をする、そのための予算を組みました。
雇用を創出するため、あるいは雇用を守るため、また、新たな産業創出のために特に力を入れた予算です。

人口減少時代に突入した日本は、たとえ今後出生率が上がったとしても、出産する女性の数そのものが減っていますから簡単に増えないどころか、総人口は減る一方です。戦争でもなく、大きな災害でもなく、大きな流行病でもなく、こうした人口の大減少は世界でも初めての経験です。
でも、考えようによっては、この事態、世界に先駆け日本モデルとして新しい時代を作る大きなチャンスでもあります。
騎馬戦型で高齢者を支えることを前提とした旧来の政策ではもはやこの急激な変化に対応できないからこそ、菅総理が強い決意でこの国の社会保障をまた税を議論するとしているのだと思います。

その場しのぎの近視眼的な政策から、将来にわたって安心してそれぞれが幸せに暮らしていける日本を作るために、政権交代をした今だからこそ、歴史的転換期に相応しい将来ビジョンと政策理念へ、大胆に舵を切る。
2009年マニフェストでお約束した基本的な考え方、競争型の縦の社会ではなく横につながる絆を重視した包摂社会を作る考えに変わりはありません。そのことが日本を再生すると信じています。
しかし、マニフェストのすべてを実施することが難しい状況なのも事実。
検証作業を進め見直すべきところは見直す、それもまた政権に就いた責任でもあると私は思っています。

厳しい国会運営が続いていて、予算が成立するのか関連法案が成立するのか、また社会保障と税はどうなるのか、皆様にご心配をおかけしており、本当に申し訳なく思っています。

今、党内権力闘争や党利党略に費やす時間はありません。
国民益、国益を考えて行動しなければ、皆さまの負託に応えることにはならないでしょう。

あくまで強い気持ちで「この国のゆくえ」を議論することに集中したいと、私自身は思っています。
皆様方のご理解とご協力をお願いいたします。


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