郡和子のコラム

2012年09月22日(土)

心一つに

例年にない猛暑も、お彼岸を迎えようやくおさまり涼しくなりました。

実りの秋が被災地にもやってきています。
東日本大震災を受け被害のあった農地での水稲の作付は、宮城で被災面積の86%まで回復し、今年作付ができた田圃でも、稲が実って収穫期を迎えました。

そんな中、石巻の一部地盤沈下が大きかった地域で、残念なことにこの夏の渇水で海の水が田んぼに引く川に流れ込み、稲に塩害が出たとのことです。圃場の除塩は済んだのに思わぬ被害です。生産者の方の落胆はいかばかりかと思います。

今、宮城県内の災害復旧の事業が、工事の入札が不調に終わるなど、せっかく付けた予算の執行出来ない事例が出てきていて、国としても、こうした事例を少なくしようと、一括して工事を請け負ってもらう方法などの知恵を絞り、事業の執行が速やかに進むよう関係機関が連携して努力を続けているところです。
これからますます復興事業が本格化しますので、注意深く見守り必要な措置をとっていきたいと思います。

ところで、ご承知のように、民主党の代表選挙が行われ、野田佳彦さんが再選されました。
再選を決めた後、野田総理は、党大会で「党内が、あるいは国論が二分しているときでも決断しなければならないときがある。その苦しさと重みを痛切に感じた1年間だった。これからも、内外ともに大きな困難のあるなかで、その都度決断をしていかなければならない。」
「私心はまったくない。心からこの日本と国民を愛している。そのための決断を皆さんと一緒に知恵を出しながらしていく、そうした思いのもとで頑張っていく。」
「目指しているのは子どもの笑顔が広がる国、お父さんお母さんの笑顔が広がる国、おじいちゃんおばあちゃんの笑顔が広がる国、そういう国を皆さんといっしょにつくりたいと思う。ぜひ、すべての皆さんの力を政権運営に、党運営に結集していただけるように心からお願いする。」そう挨拶しました。

この間紆余曲折あり皆さんのご期待に応えられなかった点も多々あったとは思いますが、政権交代でこれまでの政策を大転換し、人へ将来世代へ投資を行ったこと、特に例示すれば高校授業料無償化では経済的な理由で退学者を3割減らし復学者が増えたこと、また、雇用・労働政策の実施で完全失業率は政権交代前の5%から4.3%へ回復したこと、そして何より痛んだ地方自治体へ地方交付税を増額したこと。
バラマキと批判されることもありますが、国の立て直しの「タネまき」で、このことに間違いはないと思っています。
その種から出始めた芽をつぶすわけにはいきません。私はどんなふうにこの芽が育っていくか見定めたい。

先日、被災自治体の首長さんたちと意見交換した際も、これほど大きな被害を受けその復旧復興に努める自治体の資金がこれまで一度もショートしなかったことに感謝の言葉をいただいたのですが、人を大切に、地方を大切に、被災地に寄り添って、全力で取り組むことに変わりありません。

前述しましたが、復興事業の予算執行が各地で滞ることがないようあらゆる知恵を絞り、皆さんのお力もお借りしながら、ひとつひとつ課題を乗り越えたいと思います。心一つにして。


2012年09月16日(日)

生きたおカネを被災者に届ける

東日本大震災から一年半が過ぎました。
改めて犠牲になられた多くの皆さまのご冥福を心からお祈りするとともに被災されたすべての方々にお見舞いを申し上げます。

先日、NHKの番組で復興予算が被災地で使われていない事例が報じられました。
被災された皆さんにとっては、なんでそんなことになるんだ、許せない、そんな思いを持たれたことと思いますが、大震災の被害は3県のみならず本当に広範囲だったこと、産業のサプライチェーンの問題の解決を日本全体として考えねばならなかったこと、背景説明が不十分なところがありました。
また、一部NHK側に数字の誤りや事実誤認のところも見受けられました。
しかし、真に被災した方々のためになっているか、なお、厳しいチェックを入れて参ります。
私たちの仕事は、予算をつければ、制度を作れば、それで終わりではありません。

「生きたお金、使わせてもらって頑張ってます」笑顔で声をかけて頂くことも多くなりました。産業の再生や復興町つくりの仕組みも回り始めています。しかし、そうした支援にたどりつかずに苦しんでおられる方々も少なくありません。

先日も南三陸町で、住宅の二重ローンの問題について、せっかく作った制度や支援がほとんど知られていないことを痛感する場面がありました。

これまでも何度か、国と県、県と市町村、市町村と住民の皆さん、それぞれで情報の流れや予算の流れの目詰まりを感じ、申し訳なく思っていました。「つまり」をなくすルール作りが重要です。

これから復興の段階ごとにあらたな課題も出てくるでしょう。
それに迅速に対応し、皆さんに明日の希望をお見せ出来るようにすることが政治の責任です。

マスコミの皆さんが「復興庁ができたのに、復興が進んでいないとの声がある」と、批判的におっしゃることがあります。ライフラインをはじめ復興はほぼ計画の予定通り進捗しているのですが、成し遂げるまでの時間はまだ必要です。
質問の具体的なことが分かれば、その対応を急ぐのですが、紋切り型の政府批判のための批判であれば、被災された方々の気持ちが折れてしまい、また、私たちも前へ進める力がそがれてしまいます。
そうした中で、8割の自治体が復興庁を評価したという読売新聞の記事に、私は励まされました。
困難ではあるが、政府を挙げて、復興庁・復興局あげて頑張ってここまでは進んできた、と、新たな課題はここで、尚頑張りが求められると、広い視野、複眼的な見地で記事をまとめていただきたいものと、そう思います。

最近になってですが、マイケル・ロベルトの『決断の本質』という本を読みました。
この中に二つのタイプのリーダー像が示されています。
一つは「自分の答えを持ち的確な意思決定ができる力を備え、将来像を示す人」。
もう一つは「眼前の難しい問題は、痛みを伴い新しい方法を学ばなければ解決に結びつかないが、それに挑戦する意欲を掻き立てる人」。
どちらも望ましい姿とは思いますが、「困難だけれど、一緒に取り組んでいこう」と、挑戦する意欲を醸成させ前へ進めるリーダーに、私は共感を持ちます。

今この混沌とした時代のリーダーに求められることとはどういったことでしょうか。

一つのことを成し遂げるには、様々な組織がまとまって一つの方向を目指さねばなりません。
優秀な個人がひとりで答えを出すのではなく、多くの組織の構成員が合意までのプロセスを大切にしてコンセンサスを得、たとえ自分の考えとは違っても最終的な決定を理解し、決まった行動方針の遂行に全力を尽くす。
その計画は全員のものだという意思をつくるリーダー、それは私が目指す政治家像でもあります。

政治に対する期待や既成政党への信頼が揺らぐ事態を迎え残念ですが、欧州危機や新興国の台頭、日中関係、日韓関係、日朝関係など、複雑化する国際情勢、そして少子・高齢化が進む中で行う大震災からの復興と福島の再生は、国を挙げ国内外の英知を集め乗り越えねばならない一大事業です。

私自身、困難に挑戦する意欲を掻き立てられる人になり、ふるさとの復興が成し遂げられるまで、皆さまと共に全力で取り組む決意です。


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