郡和子のコラム

2013年04月06日(土)

新年度 心新たに

(1)

新年度がスタート、あの東日本大震災から3回目の春を迎えました。

5日、私が主催する「ビジネスミーティング」10回目を開催しました。
大震災の発災後、避難所の女性たちの洗濯代行ボランティア「せんたくネット」を立ち上げるなど、被災女性のニーズを掘り起こして支援活動を続けている、イコールネット仙台代表の宗片恵美子さんをお招きして、お話をお聞きし、対談しました。

参加していただいた皆さんには、避難所で、当時、女性たちが、高齢者が、しょうがいの方が、どんなことに困ったか、どんな支援を欲していたか、改めて思い起こして頂き、これからの防災・減災を考えていただく良い機会になったと思います。
ひとりひとりが自分のできることを確認したうえで共に乗り越える力を発揮する…、私が目指すのは、そうした共に助け合う状況をつくっていくことです。
理念としても、何よりも、第一に自助・自立を掲げる自民党や維新の会の皆さんとは、基本的に考え方が違います。
みんな、誰もが活き活きと生きることができる社会を実現することが大切であり、それは、あの震災を経験し、あらためて強く思ったことでもありました。

総務省消防庁が「東日本大震災記録集」を発行しました。
東日本大震災発災直後からの消防の対応、救助の記録が分かりやすくまとめられています。
特に写真集は胸に迫るものがあります。
巻頭は、現総務大臣の挨拶ですが、当時の民主党政権が発災直後からどのように取り組んだかが、端的にご理解いただける内容だと思います。
総務省のホームページからもご覧いただけますので、ぜひ見ていただきたいと思います。
(URL: http://www.fdma.go.jp/concern/publication/higashinihondaishinsai_kirokushu/index.html )

長く続いた自民党政権からはじめて選挙での政権交代を果たした民主党は、皆さんの信頼を失う状況を自ら生み出し下野、今再び自民党政権となったわけですが、あの未曽有の大震災を、試行錯誤を続けながらではありましたが、これまでになかった対応を、政府を挙げてやってきました。
復旧のステージから本格復興へ向けて、被災各地域でさまざまな事業が動いています。

もちろん、未だ困難の中でお過ごしの被災者の方々が大勢おられ、とりわけ、福島原発事故は、残念ながら廃炉への道筋はまだ先で、現在も進行形です。
ネズミの感電による大規模停電事故や、誤った操作による多核種除去設備の停止など、福島第一原発では、仮設設備の脆弱さを象徴する事故が立て続けに発生し、そして新たに今回、環境中に汚染水が漏れ出すという深刻な事態が起きました。
1日に40トンもの汚染水が新たに発生していて、貯留タンクの急増設が強いられていますが、放射性物質を大量に含む汚染水を保管するのに、いずれその場所さえ確保が難しくなる状況です。

国難は続いていると言って過言ではないと思います。
震災から2年が過ぎての今回の福島第一原発の状況に、今後の政府の原発政策に危うさ感じている方も少なくないのではないでしょうか。

(2)

今、いわゆる「アベノミクス」が、長期デフレの閉塞感を打ち破るとされ、各方面で多くの期待を集めている現実があります。
日銀も先週末これまでにない大規模な金融緩和策を打ち出しました。
市場や企業は日銀の金融緩和策を好感的に受け止めているようですが、果たして本物のデフレ脱却になるのかどうか…。
私は、極めて懐疑的に見ています。

先日、衆議院の議院運営委員会で日銀の黒田総裁から改めて所信をお聞きしましたが、デフレから脱却した後の何の展望もお持ちではありませんでした。
過度のインフレの防止、金融の安定、何より国債を引き受けるとしたら財政再建への道のりをどう考えるのか、ぜひお答えいただきたかったと思います。

4月5日の新聞に、エコノミストの上野泰也さんのコメントが掲載されていました。
「デフレはマインドの問題ではない。円安が多少進んでも輸出は伸びず、米国に比べ個人投資家の層が薄いため、株高による資産効果も日本の場合は限定的。少子化で市場が縮小するという実態がある限り、設備投資などは活発にはならないだろう。デフレ脱却という意味では、空振りに終わってしまうのではないか」(2013年4月5日朝日新聞朝刊)
(ちなみに安倍内閣の閣僚の皆さんはお金持ちの方々が多く、株も沢山お持ちでした、資産増加の効果はバッチリのようです)
私も、上野さんの意見にはとても説得力があると思います。

上野さんが指摘されるように、少子高齢社会、人口減少社会に対応する政策こそが重要なのであって、これをいわば逆手に取った経済政策を作りださねばならないと思います。

そして、もうひとつ、日本社会全体の右傾化を心配しています。
尖閣問題、北朝鮮のミサイルや核問題などがその背景にある中で、自民党の憲法改正草案にある「国防軍創設」や、維新の会の石原代表の「核武装を検討する」等の発言には、驚かざるを得ません。
「日本を孤立と軽蔑の対象に貶め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正し、国家、民族を真の自立に導き、国家を蘇生させる。」とは、維新の会が先日発表した綱領です。

現行憲法の下で敗戦から立ち直り、その後の繁栄が築かれ、多くの国民が平和を享受してきたのは、紛れもない事実であり、十分な説明や検証もないままに、現行憲法を悪と決め付けてかかる姿勢は極めて偏っています。
特に『孤立と軽蔑の対象』という表現は、極めて独善的で、国民を愚弄し、政治家としての歴史認識としていかがなものでしょうか。
今後、危うい方向に進まないよう、日本全体として、踏みとどまる力をつけなければいけないと思っています。
そのためにも、この夏の参議院選挙は、憲法問題をしっかりとした争点の一つにしなければならない、私自身、頑張らなくてはならないと思います。

そしてそのためにも、発信力をより強くしなくてはと、心新たにしているところです。


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