郡和子のコラム

2013年07月27日(土)

参院選の結果を受けて

参院選で宮城での民主の議席を守ることができませんでした。
応援いただいた皆さまに心からお詫びをいたします。
全国的にも、候補を絞り込んで臨んだにもかかわらず、一人区では全敗、複数区でも厳しい結果で改選前の議席を大幅に減らしてしまいました。
ご支持、ご支援をいただいた皆さまに御礼を申し上げますとともに、力が及ばなかったことをお詫び申し上げます。

今回の参院選で宮城の各党の得票率は、自民33、46%、公明12.66%、民主は14、35%、みんなが11、91%、維新は11、44%、共産が8、53%でした。
全国では、自民34、68%、公明が14、22%です。
かつて参院選の得票率で自民党は単独で5割を超えていましたが、1983年以降、得票率は単独過半数に届いていません。今回も与党合計でも5割を切っています。
自民党の大勝利はかつての圧倒的な支持とはちょっと違うもので、ひとえに非自民の受け皿になり得る野党、とりわけ政権交代までさせていただいた私たちのだらしなさが、得票率よりも多い議席占有率53、72%(歴代8位)を自民に呼び込んだのだと言わざるを得ません。
本当に申し訳ないと思います。

ところで、共同通信社が参院選直後の22、23の両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、安倍内閣の支持率は56、2%、前回6月調査の68、0%から11、8ポイントも急落したということで、不支持は31、7%、前回の16、3%からほぼ倍増しています。
これが有権者の皆さまの政治へのバランス感覚なのでしょう。
また私たち民主党の惨敗を踏まえ、68、8%の方が、野党の「再編」が必要と回答されていました。
しかし、数合わせの再編ということを望んでおられるのではないでしょう。
政策のパーツごとどのように野党どうしの連携を図るか、です。

いよいよ8月2日から臨時国会が始まります。
「ねじれの解消」で国会での審議が形式的なものにならないよう、きちんとした対案を示して、厳しいけれど巨大与党と対峙していかねばなりません。
国民の皆さまの幸せにつながる政策であればかまいませんが、そうでない場合、政府・与党の法案の問題点を如何にあぶり出して、対案を示し世論に訴えていくか…、小さくなった私たちの立場は、それにかかってくると思っています。

幸い、法案提出権を持つ党としてこれまでも数々の法案を提出、成立させてきた経験を持つ私たちです。
先の通常国会においても、その経験からどの野党より議員立法に大きな力を発揮したと自負しています。
そういう意味でも、私たちが野党の中心的役割をしっかり担っていかねばならない。
したたかにしなやかに取り組みたいと思います。


2013年07月16日(火)

政治に緊張感を 今一度民主党を

皆さんの将来を左右する重要政策に、与党は争点化を避けようとしているように見受けられます。
そのせいか、参議院選挙への関心が、昨年の総選挙より薄いとの報道も目にします。
政権選択の選挙ではないにしても、私の肌感覚でも今一つ盛り上がりに欠けるのではないかとの印象で、残念です。

関心が高くならない理由は、政治への不信もある。
それを招いたのが私たち政治家と深く反省をしなければいけないと思っています。
今朝(7月16日)の朝日新聞の社会面の特集で、「政治家は責任を取らない。いっそ官僚に任せた方が無駄がなくていい」との男性の声も掲載されていて、そこまでか…と、情けなくもなりました。
政局に明け暮れるのではなく、未来に責任を持つしっかりとした政治を進めることを、政治家全員が心に誓わねばなりません。
現在の最大与党が「棄権党」になってしまいかねない事態を招いていることを真摯に受け止め、反省と危機感を持って訴えたいと思います。

今回の参議院選挙は、憲法の問題も、エネルギー政策の問題も、社会保障の問題も、国民の皆さんの生活に影響するいくつもの重要な政策があるにもかかわらず、景気への期待・願望のバブルだけで、低投票率の中信任される様相です。だとしたら…。

私は、安倍さんの経済政策についてのリスクもこれまで書いてきました。
戦後のいざなぎ景気は、三丁目の夕日の時代、労働人口が増え続ける時代でした。
しかし、今、日本はかつて経験のない人口減少・労働人口の急激な減少・超高齢社会を迎えているのです。
「日本を取り戻す」とおっしゃっている安倍さんの取り戻す時代とは、いったいいつを設定していらっしゃるのでしょうか?
アベノミクスの財政出動は、経済が低迷しているときには財政でテコ入れするという伝統的なスタイルにすぎません。しかも公共工事を大盤振る舞いする手法です。
先祖返りとも言えるでしょう。

公共事業は経済的な効果が薄いことを安倍政権もご存じのことではなかったでしょうか。

私は、『人への投資』が重要で、個人に対して直接的にお金が回るようなスタイルでなければ、世界に先駆け急激に進む人口減少社会での経済成長は達成できないと思っています。
この『人への投資』は、新しい産業への投資も含まれていると理解していただきたいと思います。
すなわち、社会保障でもある医療や介護、そして教育、研究分野、子育て、農業や漁業、再生可能エネルギーの分野も、未来へ向けた人に寄り添う投資です。

更に『ねじれの解消』が政治を動かすと声高に訴えている与党のみなさん。

確かにそうでしょう。どんどん進められていくかもしれません。
でもそれが国民の皆さんにとって幸せにつながるのか、です。
今与党が考えていることが生活者にとって本当に良い政策なのかどうか…。
まさに「衣の下に鎧が見えている」といった状態で、憲法改悪、雇用規制の改革、ホワイトカラーエグゼンプション(サービス残業の合法化)、労働市場の自由化(会社都合による首切りの自由化)など、多くの生活者にとっては歓迎すべきではない制度を作ろうとしていることを容認されるのでしょうか。

緊張感を持った政治のために一票の権利を行使していただきたいと思います。
政権をとった野党は民主党だけです。
体たらくと受け止められるところもあるかと思いますが、堅実に実績も上げたつもりです。
その経験があるからこそ、自民党の皆さんは、厄介で、何が何でも民主党を潰したいのかもしれません。
でもここで私たちが巨大与党にしっかり対峙していかねば、皆さんの将来が白紙委任になって、危うい政策もどんどん進み、その責任と付けは、結局国民の皆さんに返っていくことになります。
それで良いはずはない。
そのことを残りの選挙期間、強く訴えてまいります。

政治に緊張感を。


2013年07月14日(日)

未来に責任を持ちたい 

7月11日、日銀は金融政策決定会合で、景気の基調判断を、先月6月の「持ち直しつつある」から、「緩やかに回復しつつある」に引き上げたと発表しました。

参議院選挙の最中に、安倍総理に指名された黒田総裁率いる日銀が、「回復」の二文字を入れて胸を張り、それを受けて、さっそく安倍総理は12日に、福岡市で街頭演説し、「やっと『景気回復』という言葉が出てきた。私たちが今進めているこの道に間違いはない」と述べて、自らの経済政策「アベノミクス」の効果に自信を示したということです。 

しかし、あの「日本経済新聞」でさえも、今回は、『雇用・所得の改善の足取りは鈍く、新興国など海外経済の先行きにも不透明感が漂っており、本格的な景気回復には時間がかかりそうだ』と報じています。
慌てて選挙戦の最中で「回復」の二文字を入れる必要があったのか…。もう少し実体経済の動きが明確になってから「回復」と判断しても遅くないはずなのに。

アベノミクスについての海外のアナリストの中には、世界第3位の経済大国の日本における「異次元の金融緩和」の試みに懸念を示す見解も見受けられます。
GDP比で226%もの借金を抱える国は、世界のどこを見てもありません。日銀が行っている「異次元の金融緩和」による巨額の国債の買い受けは財政ファイナンスではないかとの判断が市場に出てくる恐れも指摘されています。それが日本国債の利回りに財政プレミアムを上乗せさせて金利急騰を招く懸念があります。
日本の財政は、国民生活は、そして未来は、本当に大丈夫なのか?
安倍総理が描くばら色のシナリオによって人々の期待を高めることがアベノミクスの成長戦略の肝なのでしょうが、実態経済の動きが伴わない日銀の景気判断には危うさが付きまとっています。

総務省は12日、2012年の就業構造基本調査の結果を発表しました。
非正規労働者の総数(推計)は2042万人で初めて2千万人を超えたことがわかりました。雇用者全体に占める割合も38、2%と過去最高を更新、雇用環境の厳しさが増しています。年収200円以下の人は1100万人にも上り、このところの食料品などの物価の上昇は、日々の生活に大きな影響を落とし始めていています。

しかし、安倍総理のもと、産業競争力会議で、現在派遣会社の会長を務める、あの竹中平蔵さんが雇用規制のさらなる緩和、派遣の拡大を進言しています。
これだけ雇用の格差が広がっているのに、賃金の格差が広がっているのに。
更に、安倍総理のもとの規制改革会議では、楽天市場を統括する三木谷さんが、薬のネット販売の解禁を強く要望する…。
どちらも、利益相反と勘繰られても申し開きできない状況なのに、それを指摘する声が大きくならないことが、私はとても不思議でなりません。

もう一つ気になっていた政府の社会保障制度改革国民会議での議論。8月21日までに方向性を定めなければならないのですが、年金の抜本改革は先送りで、最終報告に盛り込まれるのは、公的年金を受け取ることができる年齢の引き上げ…ということになりそうで、これでは約束違反です。

高齢者が将来の医療や介護、そして年金の安心を作らなければお金が回りません。また、非正規が特に多い女性や若年層の賃金が上がらなければ、結婚して子育てをする気持ちにこたえることができず、少子化に拍車がかかり消費も増えません。

だからこそ、人への投資に重点を置く政策を進めてきたのが私たち民主党でした。年金改革は道半ばでしたが、労働法制を強化し暮らしを守る、また、教育予算を増加し子どもたちの学びを応援する、子どもを産みやすくなるよう予算を重点化してきました。このことが急激な人口減少社会を迎える日本の何よりの持続的成長につながると思っているからです。

こうしたことをぜひご理解いただき、今一度、巨大与党と対峙できる、歯止めをかけられる政治家をお選びいただきたいと思います。
未来に責任を持つ政党を、政治家を、見極めていただきたい。


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