郡和子のコラム
2013年07月14日(日)
未来に責任を持ちたい
7月11日、日銀は金融政策決定会合で、景気の基調判断を、先月6月の「持ち直しつつある」から、「緩やかに回復しつつある」に引き上げたと発表しました。
参議院選挙の最中に、安倍総理に指名された黒田総裁率いる日銀が、「回復」の二文字を入れて胸を張り、それを受けて、さっそく安倍総理は12日に、福岡市で街頭演説し、「やっと『景気回復』という言葉が出てきた。私たちが今進めているこの道に間違いはない」と述べて、自らの経済政策「アベノミクス」の効果に自信を示したということです。
しかし、あの「日本経済新聞」でさえも、今回は、『雇用・所得の改善の足取りは鈍く、新興国など海外経済の先行きにも不透明感が漂っており、本格的な景気回復には時間がかかりそうだ』と報じています。
慌てて選挙戦の最中で「回復」の二文字を入れる必要があったのか…。もう少し実体経済の動きが明確になってから「回復」と判断しても遅くないはずなのに。
アベノミクスについての海外のアナリストの中には、世界第3位の経済大国の日本における「異次元の金融緩和」の試みに懸念を示す見解も見受けられます。
GDP比で226%もの借金を抱える国は、世界のどこを見てもありません。日銀が行っている「異次元の金融緩和」による巨額の国債の買い受けは財政ファイナンスではないかとの判断が市場に出てくる恐れも指摘されています。それが日本国債の利回りに財政プレミアムを上乗せさせて金利急騰を招く懸念があります。
日本の財政は、国民生活は、そして未来は、本当に大丈夫なのか?
安倍総理が描くばら色のシナリオによって人々の期待を高めることがアベノミクスの成長戦略の肝なのでしょうが、実態経済の動きが伴わない日銀の景気判断には危うさが付きまとっています。
総務省は12日、2012年の就業構造基本調査の結果を発表しました。
非正規労働者の総数(推計)は2042万人で初めて2千万人を超えたことがわかりました。雇用者全体に占める割合も38、2%と過去最高を更新、雇用環境の厳しさが増しています。年収200円以下の人は1100万人にも上り、このところの食料品などの物価の上昇は、日々の生活に大きな影響を落とし始めていています。
しかし、安倍総理のもと、産業競争力会議で、現在派遣会社の会長を務める、あの竹中平蔵さんが雇用規制のさらなる緩和、派遣の拡大を進言しています。
これだけ雇用の格差が広がっているのに、賃金の格差が広がっているのに。
更に、安倍総理のもとの規制改革会議では、楽天市場を統括する三木谷さんが、薬のネット販売の解禁を強く要望する…。
どちらも、利益相反と勘繰られても申し開きできない状況なのに、それを指摘する声が大きくならないことが、私はとても不思議でなりません。
もう一つ気になっていた政府の社会保障制度改革国民会議での議論。8月21日までに方向性を定めなければならないのですが、年金の抜本改革は先送りで、最終報告に盛り込まれるのは、公的年金を受け取ることができる年齢の引き上げ…ということになりそうで、これでは約束違反です。
高齢者が将来の医療や介護、そして年金の安心を作らなければお金が回りません。また、非正規が特に多い女性や若年層の賃金が上がらなければ、結婚して子育てをする気持ちにこたえることができず、少子化に拍車がかかり消費も増えません。
だからこそ、人への投資に重点を置く政策を進めてきたのが私たち民主党でした。年金改革は道半ばでしたが、労働法制を強化し暮らしを守る、また、教育予算を増加し子どもたちの学びを応援する、子どもを産みやすくなるよう予算を重点化してきました。このことが急激な人口減少社会を迎える日本の何よりの持続的成長につながると思っているからです。
こうしたことをぜひご理解いただき、今一度、巨大与党と対峙できる、歯止めをかけられる政治家をお選びいただきたいと思います。
未来に責任を持つ政党を、政治家を、見極めていただきたい。
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