郡和子のコラム
2014年03月08日(土)
国際女性デーによせて
しょうがいをもつ人たちのスポーツ最大の祭典「パラリンピック」が、今日8日未明ソチで開幕しました。5つの競技72種目で熱戦が繰り広げられます。選手たちはみな人間が持っている可能性のすごさを存分に見せてくれることでしょう。震えるような感動の一週間になると期待をしています。
さて、パラリンピックも始まった今日、3月8日は、国連が定めた、女性に対する差別撤廃と地位向上を訴える「世界女性デー」です。世界の各地域で、また日本各地でも「世界女性デー」を記念し、さまざまな集会が持たれました。
日本は、国連の女子差別撤廃条約を批准してから来年でちょうど30年を迎えます。条約が女性の人権にかかわる人権条約として「法的拘束力を持つ」という認識が日本は締約国として希薄だ、と、残念なことにこの間国際機関から度々指摘されてきました。国会も十分に応えられず、恥ずかしく私も反省をするのですが、自民党政権は基本的に「条約には法的拘束力がない」との立場で度重なる勧告受け入れを拒んできました。
そして、昨年発表された世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数、男女の平等度指数です。日本は136ケ国中105位で、前年から4つ前々年からは7つも下げ、政治参画分野に至っては136ケ国中127位に。日本はアジア地域で最も長い民主主義国家であるにもかかわらず、今やこの地域の平均値を引き下げる元凶です。男女平等で世界の周回遅れの国が日本なのです。
こうした状況下で、安倍総理は国連総会やダボス会議で「女性の活用」「女性が輝く社会」を繰り返し述べたわけです。首相補佐官や事務次官らに初めて女性を起用し、2020年までに女性の登用30%実現へ向け強力に取り組むとお話になっています。この流れを、安倍総理の強力なリーダーシップと持ち上げ表現されることが多いのですが、私たち民主党政権下で取りまとめた男女共同参画の第3次基本計画が、今の政権にプレッシャーを与えていると私は考えています。というのも、基本計画の中に「クオータ制」=女性の割当制のことですが、これを初めて具体的に書き込み、内閣府を中心に議論を重ねてきたことが今のこの流れに大きく影響しているからです。
一方で、安倍総理は、海外で雄弁に語る言葉とは裏腹、国内では理解に苦しむ政策を進めています。
私は、女性差別撤廃条約の実現を図ることこそが「女性が輝く社会」に最も必要な政策だと思っているのですが、残念ながら、昨年の民法改正の議論でも明らかになったように「家族を壊す」と法案に反対の意見が与党から噴出、法務省が予定をしていた戸籍法改正には至りませんでした。また総理周辺の戦時性暴力問題での発言などを聞いても、この政権は「女性の人権」という視点が欠落しているのではと感じることばかりでした。
経済のために「女性の活用」との言われ方も多くなっていますが、経済活性化に女性を利活用するとの文脈は、人権を後回しにしているのではないでしょうか。
男女雇用機会均等法の改正は施行規則の改正にとどまり、抜本的な見直しは先送りされました。パート労働法改正案は労働政策審議会での議論が十分に反映されない法案となり、派遣労働規制の実質廃止と言える派遣法の改悪案。派遣労働者の6割、登録派遣のほとんどは女性であり、ILOの勧告も踏まえて労働法制改悪に対して国会で戦っていかねばならないと思っています。
ところで、先日院内で開かれた「国際女性デー」を前にした集会で、『昨今の東アジアを取り巻く政治状況について、軍事力中心・成果主義中心など男性政治が横行しているのではないか、山積する課題に、東アジア各国の女性議員のネットワークや連帯で「違う政治」を試みる必要があるのではないか』との研究者からの報告があり、未だ十分な女性議員を得たことのない日本ですが、少しでも世界標準に近づく議員確保に取り組みなさいと、党の男女共同参画委員長の私の背中を押していただくような議論になり、とても励まされました。
あの大震災から丸3年。震災や防災に対する女性の視点が大きな課題として浮上しましたが、復興の加速にも女性の視点が欠かせないのは論を待ちません。地域で活躍する女性の皆さんと連携しつつ、被災地、被災者の皆さんのためになお頑張って参ります。
そして、ジェンダーギャップ指数105位、政治分野127位の汚名を返上し周回遅れを取り戻せるよう、安倍政権の女性政策を強力にチェックして、本当の意味で女性が輝く社会を作るために頑張ります。
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