郡和子のコラム
2014年06月07日(土)
集団的自衛権にご執心で復興は?
東日本大震災から3年3か月になります。
被災した沿岸地域で復興事業が進んではいますが、防災集団移転促進事業をはじめとする、道路、港湾、防潮堤建設などの主要な復興事業の完了時期が、宮城県では、当初のスケジュール2015年度から遅れて2年後の17年度にずれ込むことが明らかになりました。
遅れの理由は、難航する用地取得や工事の入札の不調で、「15年度までに全ての事業が終わるようにと最大限努力してきたがどうしても間に合わない」と村井知事は説明しました。
被災し、ご不自由な暮らしを続けざるを得ない皆様には申し訳ない思いです。
復興庁が、各地方公共団体の協力を得て、避難者などの所在都道府県・所在施設別の数(平成26年5月15日現在)を公表しています。
それによりますと、全国の避難者等の数は、約25万8000人で、全国47都道府県の1、152の市区町村で避難生活をされているということです。宮城県では、今なお、8万5408人いらっしゃいます。
一刻も早く安心できる住まいへとの当初の思いに変わりありませんが、残念ながら、スピードに拍車がかからない状況です。
この5月1日に、ようやく東日本大震災復興特別区域法の一部を改正する法律が公布、施行されました。
復興の隘路になっている土地問題。東日本大震災の被災地で、所有者不明、まだ相続が終わっていない、多数の所有者がいるなど、土地の取得の進まない用地が多数存在していて、復興の遅れに繋がりかねないと、土地の取得の迅速化を図る立法の必要性を、私たちが中心になって、かねてから訴え立案してきました。しかし、政府の腰は重く、立法提案から一年以上もかかってしまいました。
安倍政権の復興への関心が薄れてきているのではないか、そう疑わざるを得ません。私たちは更なる加速化への議員立法法案も衆議院に提出していますが、肝心の復興特別委員会の開催は、この通常国会、質疑二日、時間はたった8時間、という開店休業状態で、しかも新たな立法について後ろ向きです。
昨年末の臨時国会での特定秘密保護法の強行採決に始まり、以降、安倍政権は、この通常国会でも十分な議論をさせず、重要政策を閣議決定ばかりで行っている、ということに尽きると思います。国会軽視。エネルギー計画や解釈改憲、政権方針が、国民的議論もなされないまま、国会での議論もおざなりにして決められていくという状況です。
「国民の命と財産を守れなくていいんですか?」そうおっしゃった総理。総理の頭には、足元の被災者の実情、特に原発事故を受けての対応は含まれていません。残念です。
『憲法は、主権者である国民が政府・国会の権限を制限するための法であるという性格を持ち、その解釈が政治的恣意によって安易に変更されることは、国民主権の基本原則の観点から許されない。』
これは、2009年12月16日の『自民党』の政策調査会「政治主導」の在り方に関する緊急提言に書かれている文章です。
いつ、どのようにしてこの解釈を変えたのでしょうか、未だに説明はありません。
最後に、もう一つ、日本が危ういと私が心配していることをお伝えいたします。
国際的な人権団体フリーダムハウスから「世界の報道の自由度ランキング」が発表されています。
世界197カ国の中、日本の報道自由度は42位でした。前回の40位よりも更に順位を下げていました。
政府関連の記者会見の主催権は形式上記者クラブ側が持っていますが、公的な機関は記者クラブに対し記者室を提供して光熱費なども負担しています。つまり、実質上の便宜供与。加えて安倍総理はマスコミへの介入を憚りません。
記者クラブ制度はOECDやEU議会などから改善勧告を受けていることも、付言しておきます。
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