郡和子のコラム

2014年08月13日(水)

一人一人の命の喪失に思いをはせる夏

 

エボラ出血熱の感染が広がっています。8月9日現在、4カ国で1848人が感染し、1013人が死亡しました。

エボラ出血熱は、ラッサ熱やペストなどとともに、日本では感染症法で一類の感染症に指定しています。

流行地域からの帰国者で、この一類感染症に感染した疑いのある人については医療機関などから連絡があった場合、国立感染症研究所で迅速に検査を行って感染の有無を確認する体制が整備され、検査の結果、もし感染していることが明らかになれば、患者は感染症の指定医療機関に移送されて、感染防御対策の施された病室で適切な医療が公費で提供されることになっているんです。

今のところ、日本にエボラ出血熱が上陸し流行の可能性は低いということですが、水際での感染予防に万全を期す必要があるでしょう。

ところで、この感染症指定医療機関ですが、厚生労働大臣が指定する「特定感染症指定医療機関」として、国立国際医療研究センター病院など3医療機関があり、病床は8つ。

また、都道府県知事が指定した「第一種感染症指定医療機関」、一類、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者の入院を担当させる病院が、44医療機関84床あります。

全体の数が少ないだけでなく、残念ながら宮城には一床もありません。

一般病棟に感染症病床がある場合は、届出時の直近1年間の入院患者数が0であっても、感染症病床数の5%をもって感染症病床に係る入院患者の数とすることができると診療報酬の中で評価しますが、医療機関にとっては、重荷なのが事実です。

これでは何かあった時の体制に不安が残ります。水際だけでなく日本での感染症のパンデミックへの備えを、改めて考えざるを得ません。

さて、エボラ出血熱などの感染症で死亡した数も、個である一人のいのちです。

ただ数量のように扱われるのが、災害や感染症、そして戦争の悲劇ではないでしょうか。

太平洋戦争は、日本で、玉砕、大空襲、沖縄戦、広島・長崎の原爆、そしてシベリア抑留など、被害の歴史、日本で300万人以上の死、そして飢えについて語られることが多いのですが、1000万を超えるアジアを中心とした人々の死がありました。夥しい加害の記憶、歴史でもあります。

言うまでもなく、そこには、ひとりひとりのいのちの喪失という事実があり、その人を思い嘆き悲しむ人がいたし、今もいるのです。

このことを深く思う、東日本大震災からの今日であり、また69回目の終戦の日を迎える夏の一日であり、お盆の今日です。

改めて、天に上った命に手を合わせたいと思います。


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