郡和子のコラム

2014年09月25日(木)

蓮子の思い

 

『私が今日ここでお話ししたいのは平和の尊さでございます。先の戦争で私は最愛の息子純平を失いました。子を失う事は心臓をもぎ取られるよりもつらい事なのだと私は身をもって知りました。もしも女ばかりに政治を任されたならば戦争は決してしないでしょう。かわいい息子を殺しに出す母親が一人だってありましょうか。』

NHK朝ドラ「花子とアン」の最終週、24日水曜日に放送された仲間由紀恵さん演じる蓮子がラジオ番組に出演し話した言葉です。皆さんはご覧になったでしょうか。

蓮子のモデル柳原白蓮は、戦争で奪われた息子の死の悲しみと平和を訴える気持ちをラジオ番組で語った事をきっかけに「悲母の会」を結成し、熱心な平和運動家として国際的にも運動を広げました。その史実を紹介する部分でもありました。

 

安倍内閣の閣議決定での集団的自衛権行使容認という暴挙で、日本の戦後が岐路に立たされている今だからこそ重い言葉として蓮子の言葉を受け止め、お考えになった方も少なくなかったのではないでしょうか。

 

ところで、23日、一区総支部で「集団的自衛権行使容認に反対する集会」を開催し、有識者で構成される「立憲デモクラシーの会」呼びかけ人の一人、法政大学の山口二郎教授を講師としてお迎えして「憲法と民主政治の危機をどう乗り越えるか」と題しご講演を頂きました。

『安倍政治は国家の私物化と憲法の玩具化』『集団的自衛権が攻撃を招く』『紛争当事国になれば日本海側に多数の原発を置く日本にとって通常兵器での攻撃も直ちに核戦争を意味する』『決める人を決めることで終わる現在の民主主義のあやうさ』それらの指摘はとても分かり易く、だからこそ、市民は今何をなすべきか「市民力」についてお話くださり、参加した多くの方々ともディスカッションを致しました。

 

集団的自衛権の行使容認の閣議決定で、国益が危ない、在留邦人が危ない、に、今度は、同盟国が危ない、が加わります。政府が行使の3要件に上げたものに、具体的な歯止めは、ありません。

集団的自衛権は、日本にたとえその意思がなくとも戦争に巻き込まれる可能性が大きくなることを意味します。自衛隊が果たす役割は大幅に拡大し、武力衝突を覚悟しなくてはなりません。そして「必要最小限度」で参加した後、これを超えるという理由で日本だけの撤退は本当に可能なのでしょうか?

行使容認派は、「日本周辺の安全保障環境は変わった」と、尖閣への中国の圧力、韓国との竹島問題、北朝鮮の核武装などを例に危機感を強調をします。

この「危機感が煽られ」て軍事的活動の範囲が拡大されて来たのが、20世紀戦争の世紀の実態ではなかったでしょうか。

 

民主党顧問で元財務大臣の藤井裕久前衆議院議員が今年8月15日、『政治改革の熱狂と崩壊』という著を角川書店から出され興味深く読ませていただきました。

その最終章『熱狂と政治と戦争と~結びにかえて』には、集団的自衛権の問題にも触れられ、経済政策と絡め警鐘を鳴らしていらっしゃいました。(藤井先生は2005年に「近現代史研究会」を発足させ、研究・講演活動を続けられています。)

『戦争までの過程をたどると見えてくる共通点がある。異なる価値観を否定する偏狭と不寛容、それに基づく偏った教育、そして人々の過剰な自信と、煽られた危機感、さらに議論を封殺する熱狂状態。こうしたものが時代の「空気」となって、多くの人々を支配してくると、少しずつ、国家が国民の命を犠牲にしてしまう環境がつくり上げられていく。・・・略』(本をお読みいただきたいので極々短く紹介しました。)

 

『かわいい息子を殺しに出す母親が一人だっておりましょうか』

国家が国民の犠牲を強いる社会とはあの時決別をし、その反省の上に、本当の意味で強い日本を、そして世界の平和を牽引することを、目指したはずです。

今こそ、日本の為に国民の皆さんの政治を動かす力を期待します。


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