郡和子のコラム

2014年10月24日(金)

メッキの金看板

安倍内閣の「金看板」閣僚であった小渕経済産業大臣と松島法務大臣の二人の女性閣僚が、政治とカネの問題や公職選挙法の問題で、同時に辞任するという、前代未聞の事態が起きました。しかも、両氏は国会での十分な説明を果たさないまま辞任してしまいました。

小渕さんは、事態の深刻さを認識して「知らなかったでは済まされない」「調査してお示しをしたい」と答弁されていました。

松島さんは、本来配布できない「うちわ」を配布したのに、あくまで討議資料と反省の様子が見えません。

そして、その後任の宮沢経済産業大臣の資金管理団体「宮沢会」が2010年9月、広島市の「SMバー」に、交際費名目で政治活動費を支出していたことが政治資金収支報告書で分かったのです。ご本人は行っていないとの説明でしたが、恥ずかしい話です。次々明らかになるこうした状況は、とても残念でなりません。

任命責任があると自身で言った安倍総理は、それっきり、いまだに何の説明もなく、これは、自民党や安倍内閣の抱える構造的な問題で、国会審議に大きな影響を与えた内閣には猛省を求めたいと思います。

 

ところで、安倍内閣の臨時国会での重要法案の一つ、「すべての女性の輝く社会」のための『女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案』の審議がいよいよ始まります。

 

「日本に広がる幾多のフロンティアは、私たちの挑戦を待っています。女性は、これからの日本の潜在力の最たるものです。これは、減少する労働力人口を補うという発想にとどまるものではありません。社会のあらゆる場面に女性が参加し、その能力を発揮していただくことは、社会全体の多様性を高め、元気な日本を取り戻す重要な鍵です。日本再生の担い手たる女性が、社会の中でさらに輝いてほしいのです。」

これは、2012年1月24日の、野田総理大臣の第184回国会の施政方針演説です。

安倍総理の言った言葉と思われた方が多かったかもしれませんが、私たち民主党は、上記のような考えに基づき「働くなでしこ大作戦」を策定し、日本再生戦略にも組み込んだのでした。

 

今回安倍さんが提出した法律案には、私が最も大事だと思う、男女間、正規非正規間の賃金格差の解消と貧困の克服が、目的の中に含まれていません。しかも、基本原則には、「家族」という言葉が散見され、シングルマザーを含むすべての女性の活躍支援につながるのか、疑問が生まれます。

 

「実体経済の悪循環が解消されていないから、賃金も上がらない、モノの値段だけが上がっていく。不況下のインフレは『スタグフレーション』と呼ばれ、マクロ経済にとっても国民生活にとっても最悪のシナリオですが、その状態に近づきつつある」とは、大阪経済大学客員教授の岩本沙弓氏がこの9月週刊ポストに掲載したアベノミクスに対する評価です。

円安とインフレ誘導によるデフレ脱却と景気回復に期待するのは間違いでしょう。行き過ぎた円安が、輸入食材や燃料価格を高騰させ経費が上昇、多くの企業の収益は悪化するばかりです。経費の増加を価格転嫁できない企業には「インフレ」は単なる経費アップでしかありません。

だから、今、同時に、能力・業績処遇と、労働時間規制の緩和が、また労働者派遣制度の新しい構築が、解雇規制の緩和が、企業の人件費抑制のために行われようとているのです。

これでは、生活の為に、さらに長時間労働を余儀なくされ、男女間の格差もさらに大きくなるどころか、すべての女性の輝く社会を作るとの言葉とは裏はらに、女性間の格差も拡大する恐れが大きいと言わざるを得ません。

安倍さんの政策は、言葉と中身と、どうもちぐはぐです。

 

女性たちの個性と能力を十分に発揮できる環境を整備するために必要な基本的な観点は「人権」です。

この観点で私たちが播いた種を育てるために、安倍総理の「金看板」法案の審議をしっかりとさせて頂こうと思います。


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