郡和子のコラム

2015年03月14日(土)

国連防災世界会議に寄せて

国連防災世界会議が仙台市で開幕しました。

世界各国の首脳、国連機関の代表が集まり、2030年までの防災戦略を話し合うものです。

また、あわせて多くのシンポジウムが開かれ、全体の参加者は約4万人に上ります。

 

私も、日本の国会議員代表団の一員として各国議員会議に出席し、未曽有の被害をもたらした東日本大震災の発災から今日までの取り組みや課題を発言させていただきました。

 

国連の防災世界会議は、東日本大震災から得た経験や教訓を発信する大きな機会です。

被災地を中心にした様々な団体の皆さんも、18日までの会期中たくさんのセッションを準備し世界にアピールしてくださいます。

 

組織や地域での危機対応能力は、トップのリーダーシップのもと現場の実力が大きなカギになることを、あの東日本大震災で学んだと私は思っています。

国民一人一人の真の力が試されました。

限られた情報の中で、対策を立て、決断し、行動する、そのことがあらゆる現場で求められたのではなかったでしょうか。誰かの指示をまってじーっとしていては危機を乗り切ることができませんでした。

 

一時的に権限を必要とする現場に権限を移し、中央省庁は、責任をもってバックアップするというシステムがあれば復旧復興のスピードは上がります。

 

災害復旧復興事業に、住民の皆さんの意思を反映させる法的根拠がなかったことも今後の課題だと、個人的に考えています。

復興は、あくまで被災者を主体に、被災地の地理的な条件や地域性、また、風習などを尊重しつつ、社会状況に配慮し、それを共有できるプラットホームが必要です。

ゴール設定を急ぐあまり、被災者の意思決定を急がせたりゆがめるようなことになってはいけません。

 

また、ジェンダーの視点が重要であることも、今回の大震災時に強く意識したことでもありました。

女性の防災リーダーを育成する取り組みが始まっていますが、立法に携わる女性の議会人を増やす努力も必要です。

 

ところで、国連防災席会議の歓迎レセプションで、南太平洋の島国バヌアツが大型のサイクロンに見舞われ多数の建物が倒壊するなどの被害が出ていることで、私も出席していた大統領にお見舞いの言葉を述べさせていただきました。

大統領は、通信が途絶えていて今は詳しい被害の状況はつかめないと話されました。

皆さんがこれを読まれる頃には、被害の状況が明らかになっているのかもしれませんが、南太平洋史上最悪の自然災害となる恐れもあるとされます。

日本にできること、さっそく、政府も動き出すということです。

 

この10年で、災害で亡くなった方は世界で少なくとも70万人、被災者は17億人、経済的損失は1,4兆ドルに上ります。

世界で災害に立ち向かう、助け合う。そして、ビルド・バック・ベター、未来に向けた創造的復興。

いまだ苦しい復興の途上にあるけれど、東日本大震災のいくつもの教訓を、世界に発信していきたいと思います。


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