郡和子のコラム

2015年04月25日(土)

十把一絡 無茶にもほどがある

地方創生に関連する3法案が24日、衆議院本会議で審議入りしました。

国家戦略特区法などの改正案と地域再生法の改正案、それに第5次地方分権一括法案の地方創生に関連する3法案で、石破地方創生担当大臣は法案の早期成立に理解を求めました。

昨年の臨時国会で廃案になった特区法改正案に含まれていた、家事支援サービスでの外国人労働者受け入れや、公立学校の運営を民間に委託する公設民営学校を認めることも盛り込まれています。

 

今日は、この二つ、外国人家事労働者の問題、そして公設民営学校の問題に絞り、書くことにいたします。

 

まずは、外国人家事労働者を受け入れることについてです。

日本はOECDの中で、最も男性の有償労働時間が長く家事労働の時間が最も短い国であることは、これまで何度も言及してまいりました。女性への家事負担は世界の中で最も重くなっています。

そこで、外国人の家事労働者を入国させて女性の家事負担を減らし、どんどん外で働いてもらおうというのですが、果たして現実的と言えるでしょうか?

今回の法律案では、外国人家事労働者と言われる人の資格や資質はどうようなものか全くわかりません。労働違法行為の調査は個人の家庭でどのように行えるか、また指導はいったい誰がどのようにするのか、これも分かりません。

男女が平等に、有償労働と無償家事労働を分担できるよう、長時間労働の是正や、非正規と正規労働の均等待遇を実現すれば、外国からわざわざ家事労働人材を入れる必要はないのではないでしょうか。

家事労働は、勤務時間や労働内容が曖昧で、日本の労働基準法は、法の適用外、また日本政府が自ら賛成票を投じたILO家事労働者条約の趣旨にも反しています。

そもそも、「女性の輝く社会」実現のために最も支援が必要な女性たちが、高額の報酬を払って家事人材を雇い入れることができるとは思えないのですが。

 

そして、公設民営学校の問題です。

公設民営学校は地方自治体が建てた学校の管理運営を塾など民間に任せる仕組みです。

人事配置を自治体が決める普通の公立学校に比べて、教える能力の高い教員を集めやすくなるとされています。

安倍総理が打ち出した成長戦略「世界に勝つ」グローバルな人材を育てるという目標に沿っているというのですが、公教育では世界に勝つ人材を育てられないと言っているようなものです。

中高一貫教育も含まれるのですが、中学は義務教育です。公教育制度の根幹である公正性と平等性を揺るがす可能性があるものと思います。

教育において効率性や経済生産性を優先課題として持ち込むことは、教育を歪め教育の質の低下を招くことにはならないでしょうか。まず「株式会社立学校」の失敗を正しく検証するべきと思います。

 

この2つだけではありません。いくつもの重要な問題をはらむのに、それぞれの所管の委員会で議論は踏まず、一括して早期に成立させようというのですから、無茶にもほどがある。

このところ、こうして十把一絡にして、徹底審議を避ける例が目立っています。

安保法制もこの例に倣うようです。徹底的に戦わねばなりません。


コラムカレンダー

  • 4

    << April. 2015 >>

    S M T W T F S
    « 3月   5月 »
     1234
    567891011
    12131415161718
    19202122232425
    2627282930  
  • 月別アーカイブ