郡和子のコラム
2015年09月21日(月)
民主主義の新しい闘い
今年の通常国会は、後に、何と称されるでしょうか。
国会の外で連日多くの皆さんが声を上げる中、安倍政権は強引に質疑を終結させて憲法違反と言われる法律を採決、そして成立させました。
国民の理解も納得も得られないまま強引に成立させたことは、日本における立憲主義、平和主義、民主主義を大きく傷つけるもので、大きな怒りをもって抗議いたします。
そもそも安倍政権は、憲法9条の改正を目指していたはずでした。しかし、そのハードルが高いと見るや、現行憲法の下で集団的自衛権の行使を可能にする解釈改憲を行い、「アメリカ艦船に乗った母子」のパネルで、その必要性を訴えたのでした。
そしてこの間、法の番人と呼ばれる内閣法制局長官を安倍さんに近い人物に変え、報道機関にも様々な形で介入し、権力の監視機能を骨抜きにしました。そして、言論の府、国会での審議権にも制限を加え真摯な答弁を避け続けました。
参議院での終盤の審議の中では、当初のホルムズ海峡での機雷除去と米艦防護が集団的自衛権行使の例示の対象でしたが、「ホルムズ海峡での機雷掃海の必要性、可能性はない」と安倍総理が答弁し、「助けられなくていいんですか?」と情感たっぷりに訴えたあの艦船の母子については「邦人が乗っているか乗っていないか、絶対的なものではない」と言うのですから、国民の皆さんが理解が進まないのも当たり前のことです。
中央公聴会には、シールズの大学生奥田愛基さんが公述人として出席し、このように話され、感動しました。
『この安保法制に対する疑問や反対の声は、現在でも日本中で止みません。つい先日も、国会前では10万人を超える人が集まりました。
しかし、この行動は何も、東京の、しかも国会前で行われているわけではありません。
私たちが独自にインターネットや新聞で調査した結果、日本全国で2000カ所以上、数千回を超える抗議が行われています。累計して130万人以上の人が路上に出て声を上げています。
強調しておきたいことがあります。それは私たちを含め、これまで政治的無関心といわれてきた若い世代が動き始めているということです。
これは誰かに言われたからとか、どこかの政治団体に所属しているからとか、いわゆる動員的な発想ではありません。
私たちはこの国の民主主義のあり方について、この国の未来について、主体的にひとりひとり個人として考え、立ち上がっていったものです。』
その翌日、横浜で行われた地方公聴会は、国会に報告がなされないまま、「議場騒然・聴取不能」の四文字の議事録で採決とみなし本会議に緊急上程されました。
私たちは、政府が説明している中国や北朝鮮の脅威に対し、昨年11月に「領域警備法案」を衆議院に提出しています。
11本の法律を2本にまとめた議論では、例えばPKOについてはこう考える、と、現実的な議論ができたはずなのに、それさえもさせず、この重大な大転換を致しました。対案を出さないと与党は私たちを批判しましたが、憲法違反の法案に対案はありません。
しかし、諦めません。シールズの奥田さんが語ったように、自ら立ち上がった皆さんの活動、そして、次の選挙に向けた取り組み。主権者は私だ!の声。
民主主義を、立憲主義を守るために、自由を守るために、平和を守るために、新しい闘いが、これから始まります!
共に頑張って参りましょう!
2015年09月09日(水)
声をあげつづけよう!
終盤国会。緊張が高まっています。
連日、国会内外で安保法案に反対する集会が開かれ、9月6日に仙台で開催された大集会にも私も参加させていただきました。
そして、今日9日も、日比谷公園で大きな集会が開催されました。台風18号が日本を横断中で強い雨が降っているのですが、集会に参加する皆さんのパワーに励まされます。その後、国会まで請願行動をされました。皆さんずぶぬれになりながらも、全国から参加くださっていることに胸が熱くなりました。
ところで、参議院での安保関連法案を審議する特別委員会が、15日に中央公聴会を、地方公聴会を飛ばして開くことを強硬に決めてしまいました。
「地方公聴会はやらない」と言うのが、自民党総裁に無投票で再選された安倍さんの意向だそうで、こんな事は前代未聞です。
ルールを守らず、地方の声を聴かずマスコミで言われるように来週にも強行採決など、許せません。安倍さんの驕り以外の何物でもありません。
実は昨夜、議員会館内で『「安保法案を問う」ー国際社会の現状から考える日本の取るべき指針ー』という集会が開催され、私の仙台での会合にも来てくださった柳澤協二さん(内閣官房副長官補として小泉・安倍・福田・麻生政権のもと安全保障政策と危機管理を担当されていた)が講演されました。
参議院の特別委員会で防衛省幕僚幹部がアメリカ軍に説明した文書が明らかになり、自衛隊統合幕僚監部が「安全保障関連法案」の成立を前提に資料を作成していたことが判りました。
この資料が作られたのは今年5月末、当時は安倍内閣の集団的自衛権行使容認の閣議決定を受け、法案が衆議院に提出されてまだ審議が始まったばかりの時期です。
その時点でこの文書には、8月成立、来年2月から南スーダンでのPKOでも運用する旨が書かれてあります。
この資料について柳澤さんの解説は、「優秀な官僚であったら準備するだろう」と前置きし、次のように話されました。
現在、南スーダンで道路補修などを行っている自衛隊が、この法案が成立すれば、紛争のただなかで相まみえるだろうと想定し準備したものだろう、つまり、必ず犠牲者が出るよね、殺すよね、と言うことを現場は感じ取っていることを如実に表わしている、と。
『「駆けつけ警護」または「宿営地の共同防衛」と武器使用権限の関係』として、自己防衛に武器を使うのと同じく宿営地を共同で守るために武器を使用できる、となっています。
柳澤さんは、「これまでこちらから一発も打っていない、だから、殺されなかった」。この事実はとても重いものです。
そして、「とにかく全国を駆け回っている。ここで行動しなければ、一生悔いを残すことになる」そう、話されました。
また、イラク政治史、現代中東政治が専門の千葉大学の酒井啓子教授が、中東から見る安保法案について講演されました。
「ホルムズ海峡に機雷がまかれたら」という想定が繰り返し主張されるが、事態は真逆になりつつあるといいます。
アメリカとようやく核開発協議で合意しパイプが開けたイランが、ホルムズに機雷を撒くはずもない。そして、もしホルムズに火の手が上がるのなら、アメリカに見捨てられた元同盟国サウジアラビアと、新たなパートナー、イランとの間の冷戦状態が熱戦になるときかもしれないと話されました。
あるいは、ISがサウディとクウェートでの活動を本格化したとき。
複雑に絡み合った紛争のど真ん中に、自衛隊が機雷を拾いに行って、無事に済むと本気で考えているのだろうか?と言うのが、酒井さんのお話でした。
そして、今、重要なのは、連日報じられてもいますが、シリアの国民の半分が難民化している問題にこそ取り組むべきではないか、それにこそ、武力によらない安心の外交ができる日本の貢献ではないか…。
とても勉強になりました。
ところで、同じ8日、参議院厚生労働委員会は、派遣法改正案を採決。翌9日、参議院本会議で採決が行われ、衆議院に戻ってきます。
派遣法は、期間制限を事実上撤廃し、これまで基本原則であった常用代替防止原則を有名無実化して、派遣の自由化に道を開き、正社員から派遣への置き換えと固定化を招くことになるでしょう。
これ以上、若い皆さんの不安定な働き方を広げて、貧困状態が蔓延することになりかねません。
34歳までの非正規雇用者の4割が、主な収入を親の収入と答え、親と同居しなければ暮らしていけない厳しさが、厚労省の行った調査で浮き彫りになっています。
徴兵制などしかなくとも経済的徴兵が現実になるのではないか、アメリカのように、と、そう心配される人もいらっしゃいます。
諦めるわけにはいきません。国会の内外で、とにかく、声を上げ続けましょう。
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