郡和子のコラム

2015年09月09日(水)

声をあげつづけよう!

終盤国会。緊張が高まっています。

連日、国会内外で安保法案に反対する集会が開かれ、9月6日に仙台で開催された大集会にも私も参加させていただきました。

そして、今日9日も、日比谷公園で大きな集会が開催されました。台風18号が日本を横断中で強い雨が降っているのですが、集会に参加する皆さんのパワーに励まされます。その後、国会まで請願行動をされました。皆さんずぶぬれになりながらも、全国から参加くださっていることに胸が熱くなりました。

 

ところで、参議院での安保関連法案を審議する特別委員会が、15日に中央公聴会を、地方公聴会を飛ばして開くことを強硬に決めてしまいました。

「地方公聴会はやらない」と言うのが、自民党総裁に無投票で再選された安倍さんの意向だそうで、こんな事は前代未聞です。

ルールを守らず、地方の声を聴かずマスコミで言われるように来週にも強行採決など、許せません。安倍さんの驕り以外の何物でもありません。

 

実は昨夜、議員会館内で『「安保法案を問う」ー国際社会の現状から考える日本の取るべき指針ー』という集会が開催され、私の仙台での会合にも来てくださった柳澤協二さん(内閣官房副長官補として小泉・安倍・福田・麻生政権のもと安全保障政策と危機管理を担当されていた)が講演されました。

参議院の特別委員会で防衛省幕僚幹部がアメリカ軍に説明した文書が明らかになり、自衛隊統合幕僚監部が「安全保障関連法案」の成立を前提に資料を作成していたことが判りました。

この資料が作られたのは今年5月末、当時は安倍内閣の集団的自衛権行使容認の閣議決定を受け、法案が衆議院に提出されてまだ審議が始まったばかりの時期です。

その時点でこの文書には、8月成立、来年2月から南スーダンでのPKOでも運用する旨が書かれてあります。

この資料について柳澤さんの解説は、「優秀な官僚であったら準備するだろう」と前置きし、次のように話されました。

現在、南スーダンで道路補修などを行っている自衛隊が、この法案が成立すれば、紛争のただなかで相まみえるだろうと想定し準備したものだろう、つまり、必ず犠牲者が出るよね、殺すよね、と言うことを現場は感じ取っていることを如実に表わしている、と。

『「駆けつけ警護」または「宿営地の共同防衛」と武器使用権限の関係』として、自己防衛に武器を使うのと同じく宿営地を共同で守るために武器を使用できる、となっています。

柳澤さんは、「これまでこちらから一発も打っていない、だから、殺されなかった」。この事実はとても重いものです。

そして、「とにかく全国を駆け回っている。ここで行動しなければ、一生悔いを残すことになる」そう、話されました。

 

また、イラク政治史、現代中東政治が専門の千葉大学の酒井啓子教授が、中東から見る安保法案について講演されました。

 

「ホルムズ海峡に機雷がまかれたら」という想定が繰り返し主張されるが、事態は真逆になりつつあるといいます。

アメリカとようやく核開発協議で合意しパイプが開けたイランが、ホルムズに機雷を撒くはずもない。そして、もしホルムズに火の手が上がるのなら、アメリカに見捨てられた元同盟国サウジアラビアと、新たなパートナー、イランとの間の冷戦状態が熱戦になるときかもしれないと話されました。

あるいは、ISがサウディとクウェートでの活動を本格化したとき。

複雑に絡み合った紛争のど真ん中に、自衛隊が機雷を拾いに行って、無事に済むと本気で考えているのだろうか?と言うのが、酒井さんのお話でした。

そして、今、重要なのは、連日報じられてもいますが、シリアの国民の半分が難民化している問題にこそ取り組むべきではないか、それにこそ、武力によらない安心の外交ができる日本の貢献ではないか…。

とても勉強になりました。

 

ところで、同じ8日、参議院厚生労働委員会は、派遣法改正案を採決。翌9日、参議院本会議で採決が行われ、衆議院に戻ってきます。

派遣法は、期間制限を事実上撤廃し、これまで基本原則であった常用代替防止原則を有名無実化して、派遣の自由化に道を開き、正社員から派遣への置き換えと固定化を招くことになるでしょう。

これ以上、若い皆さんの不安定な働き方を広げて、貧困状態が蔓延することになりかねません。

34歳までの非正規雇用者の4割が、主な収入を親の収入と答え、親と同居しなければ暮らしていけない厳しさが、厚労省の行った調査で浮き彫りになっています。

 徴兵制などしかなくとも経済的徴兵が現実になるのではないか、アメリカのように、と、そう心配される人もいらっしゃいます。

 

諦めるわけにはいきません。国会の内外で、とにかく、声を上げ続けましょう。


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