郡和子のコラム

2015年11月20日(金)

暴力の連鎖を危惧

フランス・パリでの同時多発テロ事件、強い衝撃を受けました。

犠牲になられた方々に哀悼の意を表すとともに、負傷者やご家族、フランス国民に対し心からお見舞いを申し上げます。

非道なテロ行為は、断じて許されません。

 

フランスのオランド大統領は16日の議会で、IS=イスラム国との戦いに各国の結束を呼び掛け、シリアのIS拠点への空爆を始めました。

 

アメリカのオバマ大統領も、空爆の共同作戦を受け入れ、そこに、ロシアも、エジプトで起きたロシア旅客機の墜落はISによるテロだと事実上断定し、シリア空爆を激化することを明らかにしました。

そして、17日にフィリピン・マニラでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)の閣僚会議は、パリ同時多発テロを受け、テロ対策の強化を盛り込んだ共同声明を採択し閉幕しました。EUもフランスの要請に応じEU条約に基づく集団的自衛権の行使を初めて決定しています。

 

世界の多くの国がISへの空爆に協力し、ISのテロに「武力」で立ち向かう路線がほぼ決まったのだとして、しかし、これでISはなくなるのでしょうか。

 

爆撃が強まれば、さらなる報復テロの可能性も高まってくるでしょう。

 

日本にもテロの可能性はあります。なぜなら日本も「有志連合」のなかに入っているのですから、その恐れはゼロではないということです。

 

世界が暴力の連鎖に組み込まれる状況に置かれるのではないかと、不安が募ります。

 

日本は、テロを根絶し、これ以上の拡大を防止するために、日本としてできる役割・責任をしっかり果たしていかなければならないのは言を俟ちません。

 

IS=「イスラム国」の資金源を断ち、武器の入手を絶ち、空爆を激化させる前にすべきことがたくさんあるように思います。

 

 

そんな中、自民党の谷垣幹事長は17日、テロ撲滅のための資金源遮断などの対策として組織的犯罪処罰法の改正を検討する必要があるとの認識を示し、重大な犯罪の謀議に加わっただけで処罰対象となる「共謀罪」の創設を含める見通しだ、というのです。

 

 

過去3度廃案になった「共謀罪」は、テロ対策や組織犯罪防止という次元を超えて、極端な話、何も犯罪行為をしていないのに「思想」に疑念を抱かれれば捕らえられる能性のあるものです。

 

「行為を処罰する」という刑事司法の原則を揺るがしかねない「現代の治安維持法」のような法律です。

 

国民の「話をする」という行動の自由が著しく制限されることになりかねません。そうすると、国民のすべての会話が捜査の対象になりうることになり、共謀罪が、特に政府が拡大しようとしている通信傍受法=盗聴法とセットになるということです。

 

 

既に、2014年秋に、私が所属していた法務委員会で、改正テロ資金提供処罰法案を議論し、成立させていて、この法律で十分可能にもかかわらず、わざわざ「共謀罪」がまたぞろ出てきたことは、特定秘密保護法につながる国家体制の意図を感じざるを得ません。

 

共謀罪など、論外です。

 

また、7~9月期のGDPは2期連続のマイナス成長。すでにアベノミクスが失敗していることの証左です。一刻も早く、経済政策の転換をしていかねばならなりません。

 

臨時国会の開会を強く求めます。


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