郡和子のコラム
2016年01月28日(木)
政治の危機
「報道機関に身を置いて35年にわたり政治を見てきたが、今ほど政治に危機を感じたことがない。それを変えるためにあえて火中の栗を拾う覚悟をした」
今年の夏の参議院選挙長野選挙区で、民主党が公認内定した杉尾秀哉さんの、JR長野駅前で行った街頭演説の一コマです。
杉尾さんは、ご存知のように、TBSで「ニュースの森」など長く報道番組の第一線に身を置いてきた人で、私もTBC時代、一緒に仕事をした経験があります。
「今ほど政治に危機を感じたことがない」
選挙で戦うことを決意してくださった杉尾さんだけの思いでしょうか?
昨年秋に成立した安保法制。日本の安全にどのような効果があり自衛隊をどのように運用することで日本の安全と世界の平和につながるのか、安倍総理、政府は徹底して質問に答えず、はぐらかし、ごまかし、強行採決を行いました。
国会の外で反対の声を上げてくださった皆さんだけではありません。法律成立後の様々な世論調査でも、説明は不十分、理解が進んでいないと答える国民が大勢いらっしゃいます。しかし、今もって政府の丁寧な説明はありませんし、立憲主義をないがしろにする安倍政権は、国民を力で組み敷く政治をすでに始めてしまったと言っても過言ではありません。
私たち民主党は、今週、次の内閣閣議で、安倍政権が成立させた安保法制を廃止するための「平和安全法制整備法廃止法案」「国際平和支援法廃止法案」、安保政策の基本理念である「専守防衛に徹し、近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」という考え方に基づいて取りまとめた「領域警備法案」「周辺事態法改正案」「PKO法改正案」の安全保障関連の5つの議員立法を提出することを決めました。
社会保障と税の一体改革で民主党政権が苦渋の選択をした消費税のアップは、社会保障制度を安定的なものにするためのものでした。
しかし、民自公3党で合意したはずの子ども子育て支援の拡充は先送りされ、財源の見通しさえ立たなくなっています。与える影響の十分な検証や試算を行わず軽減税率が導入され、その税源調達のために、総合合算制度の導入が見送られようとしています。
総合合算制度は、医療・介護・保育・障害に関する自己負担の合計額に上限を設定し、基礎的な消費支出等を踏まえ、負担上限を年収の一定割合にとどめるものです。
医療などの自己負担や社会保険の保険料は、消費税以上に逆進性がはっきりしており、これでは負担の逆進性が複合してさらに重くなってしまうと、中央大学の宮本太郎教授は、さっそく警鐘を鳴らしています。
三党合意の社会保障の充実は反故にされ、再分配効果の低い軽減税率導入のために、総合合算制度の予算を使い込む。
仮に軽減税率が再分配のためであるとするならば、そのために犠牲にされる総合合算制度と比較して、どちらの再分配効果が大きいか確認して決定すべきなのに、今日28日行った財務省へのヒアリングでも、総合的に判断する材料は何もないまま決められたことが判りました。
国民のためと言うより政権与党の協力強化のためであることは、あからさまです。新聞も軽減税率の対象になるというのも何故なのでしょうか。政治の危機を感じます。
因みに軽減税率と言う言葉は誤解を招きやすい。据え置き税率で、複数税率になるということです。
複数税率導入のためにかかる中小事業所の煩雑な事務コスト等についても試算された形跡はありません。政策決定の基本を押さえない政治を、悔しいのですが止められないのです。
雇用や生活への不安が高まれば、そのはけ口として、敵対心を煽り排除の暴力につながります。多様性を認めず、国権は人権に勝ると言わんばかりの憲法改正案に同調する動きは、他者を排除しようというヘイトスピーチなどと共通しているのではないかと感じます。日本はいったいどこへ向かうのでしょう。
そして、政治とカネの問題です。
甘利大臣の政治とカネの問題は、古い利権政治が温存されていて自浄することが出来ない自民党の体質を表しています。甘利大臣は大臣を辞任しましたが、しかし、当初、関係する役所も情報を出さず政府ぐるみで甘利大臣をかばう姿勢は、国民を欺むくグロテスクな政治そのものでした。これで幕引きにしてはなりません。
企業献金の在り方に切り込む議員立法提案に向け議論して参ります。
これまでいろいろ出てきた他の大臣のスキャンダルも、追及すれど覆い隠され辞任させることも出来ませんでした。甘利さんの問題も週刊文春が取り上げなければだんまりだったに違いありませんし、これまで数々の場面で「週刊誌の報じることを国会で取り上げるのか」と、総理や閣僚が答弁しましたが、週刊誌にジャーナリスト魂を見せて頂いたと思います。
民主党の力不足を指摘もされますが、巨大なお金を握り簡単にすべてを絡め捕る強権政治は、事実を捻じ曲げご自分の都合のよい数字だけを提示して国民にアピールし、民主党へのネガティブキャンペーンで民主党の力を削ぐことに躍起になっていることも、改めて知っていただく必要があると思っています。
この夏の参議院選挙は、日本の未来にとって、極めて重要な選挙になります。今は力弱いけれど、絶対に勝たねばなりません。強権政治と古い利権政治を変えるために歯を食いしばって訴え続けます。
2016年01月07日(木)
微力だけど無力じゃない 未来に向けともに力を
新しい年を迎えました。
今年の干支は丙申。丙申の年は、戦後二度目です。60年前の丙申の年は、「もはや戦後ではない」と高度経済成長へ突入した時代でした。
あれから60年、日本は人口減少期に入り、成熟社会をどう構築していくのか、それが大きな政治的課題です。
年明け招集された通常国会。さっそく論戦がスタートしました。
安倍政権は「GDP600兆円」や「1億総活躍」などの日本経済の強化策を打ち出していますが、専門家は懐疑的です。私もそう思います。
明治から百年以上、日本は人口の増加とそれに伴う経済成長に支えられ、発展を遂げてきたのですが、そうした時代は終わりました。人口減少社会の身の丈に合った政策転換が求められています。
安倍政権の「一億層活躍社会」は、言わんとしていることは、「誰しもが居場所と出番のある社会」で、それはまさしく私たちが掲げた政策の柱でした。人の成長なしに経済の持続的成長はないと思っています。だからこそ、人に投資し、じっくり人を育てる社会を作ることが、これからの日本にとって重要であると思っているからです。
ところが、安倍政権はどうでしょう。
目先のGDPや株価を上げるため借金を増やし、更には労働者を物扱いし、強者に味方する経済政策を掲げるのでは、その掲げたスローガンに逆行、さらに少子化が進み、日本は格差がさらに拡大して、展望の開けない社会になってしまいます。
消費税の軽減税率については、範囲を外食を除く飲食料品全体に拡大し、そのために1兆円の財源が必要となりました。そして、その1兆円の財源確保のために、自己負担の総合合算制度の導入を見送ることにされました。
医療、介護、保育、障がい者支援など、様々な社会保障制度には、所得に応じてそれぞれ自己負担の上限が設けられています。総合合算制度は、これらの自己負担の総額に上限を設けるもので、所得の少ない人の負担軽減のためになくてはならないものです。
高所得者ほど恩恵を受ける軽減税率のために、なぜこの意義ある制度を断念することにしたのでしょうか。
安倍総理の姿勢も気に入りません。
立憲主義を理解しない言動、また、議論に誠実に答えようとしない強権的な態度、そしてマスコミに対する言論統制ともとれる介入。
残念ながら今の政治は、与党しかいらない、と言わんばかり。しかも、与党の中でも安倍さんに議論の声をあげられない政治です。
60年に一度の丙申の年は、革命・飛躍の年ともいわれます。
今年は、5月に伊勢志摩サミットが開催され、仙台でも財務大臣・中央銀行総裁会議が開かれ、その先、夏には参議院選挙が行われます。衆議院選挙もあるのではないかと取りざたもされています。忙しい日程で、国会での論戦も満足にできないのではないかと思われます。
でも、皆さんには、しっかり見ていて頂きたいと思うのです。
政党政治を鍛えることを私たち政治家自身も努力しますが、「苛政は虎よりも猛し」、こんな政治では困るとか、そんな税金の使われ方は拒否するという生活者・納税者の率直な気持ち、健全な問題意識を、皆さんが投票行動で表現すれば、よりよい政党政治が育ち、健全な民主主義を手にすることができるでしょう。
今は微力だけれど、無力ではありません。
日本の未来を見すえ、皆さんとともに、今年一年、力を尽くし頑張ってまいります。皆さんとともに力を合わせれば、きっと未来が開けると信じて。
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