郡和子のコラム

2016年04月21日(木)

熊本地震 東日本大震災の教訓から

熊本県を襲った地震。一週間たった今も、活発な地震活動が続いています。

亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。

そして、被災されたすべての皆さまにお見舞いを申し上げます。

 

いわゆる震災関連死がすでに報告されています。

エコノミークラス症候群を発症し亡くなられた方々です。

 

収まらない地震や雨による土砂災害など、更なる被害の拡大にも備えなければなりませんし、乳幼児や女性、ご高齢の方、しょうがいの方など、特別に配慮せねばならない方々への対応など、災害対応のノウハウを持つ内閣府の職員を早急に派遣し、現地災害対策本部を拡充する必要があると思っています。

 

私もメンバーに加わる28年度熊本地震災害対策本部は、昨日20日、政府・与党に対し、一刻も早い激甚災害の指定と、河野防災大臣が本部長の非常災害対策本部から安倍総理が本部長の緊急災害対策本部に改組し、政府を挙げて緊急に取り組むことを強く求めました。

 

ところで、東日本大震災の折り、被災した人たちが避難所で雑魚寝する日々が続き、脚の血管内で血が固まって詰まる静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)を発症しやすくなり、血栓が飛んで肺に詰まり、命に関わる、という問題に直面しました。

あの折も、医師会や看護協会の皆さんが避難所を巡回して、健康状態を聞き取って対策をとっていただきました。

脚に血栓をつくらないよう、避難所内ではなるべく体を動かすこと、水分を定期的に取ってトイレを我慢しないことなどを指導してもらったわけです。

 

今回の熊本地震では、多くの方が車の中に寝泊まりされていることで発症が増加しているようですが、避難生活が長引くことも予想されますので、予防のために配られている「弾性ストッキング」なども活用して頂きたいと思います。

 

私は、東日本大震災後、2012年に防災基本計画を修正し、その中に、地方自治体が避難所で整備するものの一つとして段ボールの簡易ベッドを入れてもらいました。

立ち上がりやすく、動きやすい。食事をとるのも楽。布団も乾燥しやすくなります。

板張りの床に直接布団を敷くのと比べ、「振動が伝わりにくくよく眠れる」との声が多く、避難期間が長期化した場合でも、血栓予防の効果もあって、埃を吸い込まず衛生的で呼吸器疾患の発症も防ぐというメリットもあるからです。

それに段ボールですから安価で不要の時は畳んでおけるのもポイントです。

避難が長期にならない事が望まれるのですが、是非各自治体に準備してもらいたいと、その修正を書き込んだのでした。

 

まだまだ十分ではありませんが、段ボールベッドが徐々に使われていることを、率直に良かったと思っています。

 

避難所でのプライバシーの保護など、心休まる環境には程遠いとは思いますが、被災された皆さんが少しでも安心できるようなサポートを、あの東日本大震災の教訓を生かしてやっていかねばなりません。

 

また、避難所になっている学校教育施設などが度重なる揺れに耐えうるのか、耐震状況を新たに診断してほしいと要請があり、診断が始まっています。

安全安心な避難所、そして生活支援、課題は山積していますが、あの東日本大震災の教訓は必ず生きてくると確信します。

 

最後に、今一度、歴史に学ぶ重要性を指摘したいと思います。

2005年の政府の防災会議「災害教訓の継承に関する専門調査会」で、今後起こりうる地震・津波の想定から、延喜元年(901年)の史書『日本三代實録』に記述のあった869年の「貞観地震・津波」を外してしまいました。

だからこそ、東日本大震災は、「想定外」「1000年に一度の大震災」などと言われることになったのですが、その『日本三大實録』には、「肥後地震」の記述もあり、地殻変動が大きかった時代を伝えています。

この歴史書を、また、きちんと評価しなおし、今後に備えるべきと思います。


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