郡和子のコラム

2016年06月14日(火)

アベノミクスで幸せにはなれない

2万5000円もするトースターが売れているそうです。
昨年6月の発売以来累計約10万台を売り上げる大ヒット、5000円程度が標準的価格ですから驚きます。

製造元のバルミューダの社長さんのお話がネットに流れていました。紹介させていただきます。

「『世界一のトーストを食べてみたくないですか?』そこまで言い切れる製品ってどんなものか、みんな興味を持つ。今の時代、もうただの『モノ』は売れない。洗濯機は壊れたら買うが、壊れてない家に洗濯機を売るのは大変だ。昔はみんな持ってない時代があって作れば作るほど売れた。その状況が変わったから、大手メーカーでさえキツくなっている。今は基本的に市場自体がない。その時人々は何を買うのか。我社の場合、それは『いい体験』だと考える。『いい体験しか売れない』と思い込んで、『いい体験』を提供することだけ考えている。」

物がある程度充足した中で、新しい価値を見出して競争力を高めることが出来るかどうかが経済活性化に直結する、社長の言葉に表れています。

アベノミクスの考え方は、デフレを克服すればすべてうまくいく、物価が上がりさえすれば企業業績は改善し、経済成長も実現する、と言うものですが、違います。

日本は、得意な「ものづくり」分野で新興国からの追い上げを受けており、そんな中収益を上げようとすれば、まずは「コスト削減」、最大コストの「人件費」の削減を行います。
そして、そう、非正規雇用が拡大しました。
安倍総理は、労働人口は増えたと言いますが、増えているのは非正規雇用者です。

これだもの、賃金の支払総額は増えず、消費も低迷、結果、デフレスパイラルから抜けられない…。

金融緩和政策で円安を誘導しある程度物価上昇をもたらしましたが、それは国内の実質所得を海外に流出させた物価上昇でしかありません。誰も幸せにしないかえって苦しい物価上昇です。
また、株価が上昇し景気がよくなったと言いますが、株価で企業業績も改善したりするわけではありません。全く逆で、企業業績やマクロ経済の改善が見込まれる時に株価が上昇するのであって、投機的に株価が上昇しても、また皆さんの年金基金で株価を買い支えたとしても、景気がよくなったり企業業績が改善したりする訳ではありません。

高い値段を払っても手に入れたいと思える商品やサービスを開発し提供する、その循環を作っていくことこそ重要ではないか、そして、それには、人づくり、人への投資こそ近道で、政策を転換すべきです。

アベノミクスで幸せにはなれません。


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