郡和子のコラム

2016年09月30日(金)

自民党憲法草案の撤回を拒否した総理

安倍総理は27日の衆議院本会議で、我が党の野田幹事長の代表質問に、自民党憲法改正草案を撤回しなければ議論できないという主張は理解に苦しむと答弁し、撤回を拒否しました。

今年7月、アメリカと共にイラク戦争に突き進みフセイン政権打倒に走った判断を検証するイギリスの独立調査委員会の報告書が公表されました。

開戦時、ブッシュ政権の対イラク強硬策に対しブレア政権は情報の検証をせず外交努力も怠り根拠なく追従していったのは誤りだったと報告書は当時の政権を批判しました。

日本もイラク戦争を支持し後方支援も行いましたが独立組織による政策検証もないばかりか、今もあの戦争の判断は妥当だったとの立場です。

その後イラクでは、過激派組織イスラム国(IS)が台頭し、テロや宗派間対立が深刻化しているのはご承知の通りです。

安倍総理の改憲の本丸は、緊急事態条項の導入と9条、だからこそ、あのイラク戦争への検証は日本のインテリジェンスの問題でもあり私は不可欠なことだ考えています。

「緊急事態条項」は、総理が緊急事態を宣言したら内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定できるというもので、大震災の発災などで必要だとまことしやかに言われますが、内閣が立法権も掌握して国民の人権を自由に制限するという内閣の独裁体制を敷くものに他なりません。

また自衛隊を「国防軍」にすることは、これまで自衛隊に付されてきた専守防衛や非核三原則などの制約もろもろをも無くしてしまうことを意味しています。

東アジアで、すでに「安全保障のジレンマ」と呼ばれる軍拡に陥っていることに拍車をかけるような日本であってはいけないと、強く思います。

「過去の世代が議論し築き上げてきたものへの敬意と次世代への責任。その二つを考えるなら、重要な案件はたくさんある。きちんと過去と向かい合い、次世代につなぐ政権運営をするべきなのだ」

これは、安倍総理の政治思想史の恩師である加藤節成蹊大学名誉教授の安倍総理の政権運営に対する批判で、加藤名誉教授は安倍総理を無知と無恥の二つの「ムチ」だと表現しました。

恩師の痛烈な批判もどこ吹く風の総理へ、私たちは何処まで攻め込めるか、臨時国会は11月30日までです。


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