郡和子のコラム

2016年11月12日(土)

アメリカ大統領選挙の結果から

世界中が驚きをもって受け止めました。

大方の予想を裏切る形で、ドナルド・トランプ氏が次期大統領に選出されました。

あのヒラリー・クリントンさんをもってしても「ガラスの天井」は突き破れなかった・・・。

早速識者の方々がこの選挙を論評しています。

「圧倒的な経済力と軍事力を背景に世界のリーダーとして大きな影響力を行使してきたアメリカが、アメリカが第一で世界秩序の責任まで負いたくない、というトランプ氏を大統領に選んだ。」

私たちこそがアメリカンだ、という中間層が、移民政策や経済の停滞で大きくなった不満や不安を、エリートの既存政治家ヒラリーではなく、歯に衣着せぬ言葉で訴えた経済人のトランプに託した、現状打破の為に。

これからのアメリカは、グローバルではなく「国民第一」の政治に舵を切ることになるのでしょうか。

イギリスのEU離脱も、グローバリズムとナショナリズムの鬩ぎ合いの結果であり、アメリカもまたその鬩ぎ合いの結果、トランプ氏が選ばれたということになるのかもしれません。

イギリスで国民投票の無効を訴えるデモが直後に頻発し、アメリカでもトランプを大統領と認めないと全米でデモが起きていることは、それだけ、有権者の皆さんの悩みが深いとも感じます。

各国でナショナリズムが台頭する中、世界秩序をどのように構築していくか、とても大きな難しくて重い課題に日本も向き合わねばなりません。

また、これまでTPPを主導してきたアメリカですが、新しく大統領に就任するトランプ氏は、選挙期間中にTPP離脱を表明しアメリカ議会も選挙結果が出た9日、改めて新大統領就任前に採決は行わないとの認識を明らかにしました。

この事は、かつて第1次世界大戦後、アメリカのウィルソン大統領が主導してきた国際連盟にアメリカ自身が加わらなかった歴史をも思い起こさせます。

そしてその後、世界恐慌に陥り、第2次世界大戦へと突き進んでいった歴史も。

アジアの一角で、平和で安定した民主主義国家として日本が存続し続けるために、今この時代、政治に関わっている責任を強く感じずにはいられません。

日本国内でも格差の拡大などあらゆるところで分断が進んでいるように見えますが、この社会的分断を是正して、排外主義が広がらないように取り組むことが、何より今政治に求められると私は考えています。

麻生財務大臣が「選挙中の話だから」とトランプ氏の公約が反故にされることは当たり前のような発言をなさいましたが、ご自身のアメリカへの期待と、選挙公約は守らなくてもいいというご自身の姿勢を表していて、とても問題だと思っています。


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