郡和子のコラム

2016年12月04日(日)

鹿を指して馬と成す 

秦の始皇帝が亡くなった後、悪臣の趙高が自分の権勢を試そうと二世皇帝に「鹿」を献上し、それを「馬」だと押し通します。

みんな趙高を恐れていたので、押し黙ったり「馬です」と媚へつらう者、中には鹿だと言う者もいたのですが、鹿だと言った者は処刑されてしまいます。

そしてその後は、臣下たちは皆、趙高を恐れ、反対をしなくなった・・・。

理にかなわないことを無理に押し通す。

間違いを間違いと分かっていながら正さない。

私は、今の安倍政権のことを、この故事に重ね合わせてしまいます。

カジノ法案は、「暴速」での採決でした。審議時間は5時間半。

議員立法で提出されたこの法案の大きな問題点は、ギャンブル依存症の問題もそうですが、刑法賭博罪の違法性阻却事由について全く不明だということです。

更に、この法案の審議に際しては、①担当の国家公安委員長は必ず出席、②関係のある法務大臣や厚労大臣など必要に応じて出席を求め審議すること、③参考人質疑を行うこと、④公聴会を開催する等としていた与野党の合意にもかかわらず、今回、安倍官邸からの強引な要請で、この合意が守られないまま自民党が強硬に審議に入り強行採決をも許してしまいました。

数で圧倒的に負けている少数野党が、この状況に抗う手段は極ごく限られてしまいます。

「鹿を指して馬と成す」。

誰も違うと言えなくなっている与党議員、あるいは「ゆ党」と自分で呼ぶ安倍総理の応援議員、都合の悪い真実には蓋をしたまま、国会を官邸の下請け機関に貶め、それで良しとしていることに、私は大きな怒りを持ちます。

この数だけの論理、日本の未来に暗澹たる思いです。


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