郡和子のコラム

2017年02月18日(土)

自衛隊の南スーダン日報問題で

防衛省が、南スーダンPKOに派遣されている陸上自衛隊の日報問題について取り上げます。

フリージャーナリストの布施祐仁さんが、昨年9月、情報公開法に基づいてこの日報の情報の開示請求を行いましたが、昨年12月16日、日報は廃棄されていると説明し、非開示にしたのがそもそもの始まりでした。

稲田防衛大臣は、2月17日の衆議院予算委員会で「統幕において、南スーダンへの部隊派遣の開始以来、日報を電子データとして保存していることを確認した」と述ベました。

そうだと思います。大切な事例集になり、続く自衛官の活動に生かされるものだからです。

 

政府が「駆けつけ警護」を閣議決定したのが11月15日で、20日には新たな任務を付された部隊が派遣されました。

布施さんに日報は廃棄されて開示できないと通知があったのが12月2日のこと。

年が明け、通常国会冒頭の代表質問に対し、総理は、「規則に基づいて扱っている」と、あくまで廃棄されたことを答弁しています。

 

改めて公表された日報には首都ジュバで大統領派と反政府勢力の「戦闘」が発生したことが明記されていました。

「戦闘行為」は起きていないとする政府の説明と食い違いが生じていたわけです。

 

派遣を開始以来、統合幕僚監部で日報を電子データとして保存していたにもかかわらず、大臣にその報告がないばかりか、総理の答弁を書いたのも防衛省でしょうから、同じように説明がなかったのか、あるいは、総理も大臣も知っていてそのような説明だったのか、この点は、シビリアンコントロールのとても重要な問題です。

 

あくまで防衛省内部では、本来廃棄される扱いだったとの説明で、自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長も会見で「文書管理の面も含め今後、防衛省全体として再検討する」と見解を示しましたが、海外での活動の生データは次の活動に向けた教科書になるものです。

 


この問題だけでなく、天下りやなど官僚体制の負の部分を壊す改革の必要性、そしてその上で政治家の力量と誠実さとは何かを改めて考えざるを得ません。


2017年02月05日(日)

アベノミクスは富裕層と自民党の懐を豊かにしただけ

1月31日に発表された2016年平均の有効求人倍率は、前の年を0・16ポイント上回る1・36倍となり、1991年以来25年ぶりの高水準になった、と報じられ、安倍総理も胸を張りました。

総務省が同日発表した16年平均の完全失業率も前年より0・3ポイント低い3・1%となり、94年以来22年ぶりの低さだったということです。

それなのに、アベノミクスを否定するのか?と、問い合わせがありました。

有効求人倍率は、求人数の増加だけでなく、求職者の減少(つまり、人手不足の深刻化)によっても上昇します。

有効求人倍率が1・34倍だった24年前は、15〜64歳の生産年齢人口は約8600万人。

それが今年4月は7600万人で、約1000万人も減少しています。

私は、少子高齢化、人口減少が、景気の回復よりも、有効求人倍率や失業率の改善の多きな要因と考えます。

野村証券のチーフエコノミストの方も「生産年齢人口が減っていることが雇用指標を押し上げている」と指摘しています。

 

アベノミクスのこの4年を検証すると、次のようなことが判りました。

日経新聞が昨年11月に報じていますが、金融広報中央委員会が2016年の「家計の金融行動に関する世論調査」で2人以上の世帯が保有する金融資産は、平均で1078万円と前年に比べ10、8%減り、04年以来12年ぶりの低水準。

最も注目したいのは、「金融資産を保有していない世帯」=貯蓄ゼロ世帯の割合で、427,4万世帯も増え、4年前の1、3倍になりました。

一方、富裕層の上位40人の金融資産は、1、9倍にも増えていました。

典型的な「貧困」と「格差拡大」の状況です。

 

そして、増加率の高い2番目が、自民党への企業・団体献金。

12年は16億1879万円でしたが、15年は27億2827万円と1、7倍にもなっていました。

 

確かに富裕層は恩恵があったようですし、資本金10億円以上の大企業も配当金を増やし、内部留保も積み上げました。

自民党も十分すぎる資金を得て、盤石な政治体制を築き、今の状況です。

 

内閣府が発表した「国民経済計算」によると、国民一人当たりの名目GDPは、この3年間で大幅に減少し続け、OECD35カ国で12年は11位、13年、14年は19位、15年20位と転落を続けています。

消費者物価指数もずっとマイナス。家計も決して潤っていません。

ふつうの人が豊かになる政策を進めるのが政治の役割です。

富裕層は貧困層より税が軽く、また大企業は中小零細企業より法人税が軽い、という不均衡を変えていく、そして、教育を含めた人への投資がGDPを押し上げているヨーロッパ・北欧型の経済政策を実現すべき時だということを、改めて記させていただきます。

民進党の経済政策は、ホームページからアクセスしてご覧いただきたいと思います。


2017年01月26日(木)

我田引水の解釈で国民を欺くのはやめて頂きたい

193回通常国会が召集され、論戦が始まりました。

そして、アメリカではトランプ氏が正式に大統領に就任しました。

トランプ氏の選挙戦でも見られた過激な発言や自国最優先の保護主義的な政策が次々実行の段階に入り、大きな「反響」が世界に広がっています。

トランプ大統領就任の翌日、女性蔑視の言動などに反発する抗議活動が全米で行われたのも、特筆すべき出来事でした。

首都ワシントンでは、女優のスカーレット・ヨハンソンさんら著名人も登壇し、歌手のマドンナさんは「革命はここから始まる」と訴えたということです。

フランスのオランド大統領がアメリカの孤立主義に警鐘を鳴らし、ドイツのメルケル首相は経済問題や防衛政策について、これまでの友好国との国際的枠組みを尊重するよう求めました。

しかし、日本…。

安倍総理は施政方針演説で、「日米同盟は、わが国の外交・安全保障政策の基軸であり、大統領との信頼関係の上に、揺るぎない同盟の絆を一層強化していきたい」「できるだけ早く再びお目にかかり、幅広く意見交換を行い、日米同盟の重要性を世界に向けて発信したい」とおっしゃり、世界の「分断」に対して、あるいは日本の国益を鑑み、トランプ氏へ言うべきことをはっきり言う姿勢は、全く感じるとることが出来ませんでした。

また、国民の皆さんを煙に巻くかのように、成功していないご自分の経済政策を自画自賛し、相も変わらず民主党政権を批判しました。

数字を操作し幻想を並べ、例えば、有効求人倍率の上昇要因は、景気回復ではなく生産年齢人口の減少によって労働力の供給が減少した結果に過ぎませんし、子供の相対的貧困率が大きく改善したというのも、これまでの厚生労働省のデータとはまるっきり別の総務省の「全国消費実態調査」から引っ張ってきたもので、胸を張れるものではありません。

そもそも、いまだ一向に「デフレ脱却」を宣言できず、財政健全化の指標である基礎的財政収支(プライマリーバランス)は、2020年度の赤字額が国と地方を合わせて8.3兆円にもなり、昨年の7月時点の試算から2.8兆円も悪化すると経済財政諮問会議に報告されました。

これ以上「ふかす」のではなく「転換」すべきです。

我田引水の統計解釈で国民を欺くのはもうやめて頂きたい。

強い怒りをもって、この国の為に安倍政治を変える力を持ちたいと思います。

民進党の経済政策はホームページで発表しています。

次の機会に、私の考えと共に紹介させていただきます。


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