郡和子の活動報告

2013年03月13日(水)

2013年3月13日の活動レポート

183回通常国会-衆議院-予算委員会-郡和子質問 平成25年03月13日

○郡委員 民主党の郡和子でございます。
 今の黄川田委員のやりとりにもありましたけれども、私どもがこの間やってきたことについても、ある意味、評価をしていただけるだろうなというふうに、そう認識をさせていただきました。
 先週末には、五回目の復興交付金の可能額が通知をされました。あわせて、復興交付金の運用の柔軟化を図ること、それからまた基幹事業の採択の対象の拡大、効果促進事業の対象拡大や弾力化など、これも発表されたわけでして、いずれも被災地の思いを受けとめたものと、私自身も評価をしているところでございます。
 しかし、今、やりとりの中にもありましたように、予算の執行というのはなかなか思うようにはまいりません。予算委員会でも幾度か指摘をされておりますが、マンパワー不足、資機材の不足、そしてまた土地の権利調整の難しさ、これも、私どもが政権にあったときにも、本当に苦労をしながら、いろいろな制度設計を図って対応してまいりました。
 今お話にあった総務省マターの人材の確保、そしてまた、新たに国家公務員のOB、霞が関のOBを派遣できるようなスキーム、また、復興JVや、それからコンストラクションマネジメント、CM方式、URの活用、これらも着実に進めてきたところだというふうに思っております。
 また、先ほど工程表の話がありましたけれども、私からも一言つけ加えさせていただきたいと思います。
 安倍総理の追悼式典の後の記者会見で、これまでの問題は、工程表を発表してこなかったというふうに批判をされましたけれども、この一年間、昨年は、工程表を早くつくれつくれということで、平野復興大臣を筆頭にして各地域を丹念に歩いてまいりました。
 そして、私が当時担当いたしておりました宮城復興局においては、地域カルテというものを既に作成しておりまして、例えば、堤防については工期はこのぐらい、そして、道路についてはこうなる、その後に宅地造成が進んで、住宅の再建についてはこの後になるねというような、そういう工程表もつくっていたわけでございます。
 あたかも、何もなかったのに、安倍政権になってこれがぱっとできるということではないはずでありまして、そこについても、これは通告しておりませんけれども、安倍総理に答えていただきたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 詳しくは大臣から答弁させていただきますが、しかし、被災地を回りまして、実際に仮設に住んでおられる方々から、いつになったらこの仮設から出られるんだ、高台への移転がどれぐらいに始まるんだ、もとの生活に戻るんだ、その大体の見通しを示してもらいたいという声が強くあったわけでありまして、その工程について復興大臣からちゃんとそれを示してもらいたい、そういう要望に応えたということでございます。
 私は、何も、前の政権が何もやっていなかったということを言うつもりはないわけでありまして、大切なことは、私たちがやっていることも不十分であります、いろいろな御批判がある、政権与党あるいは政府において、それも受けとめながら、それに対応していくのが責務なんだろう、こういう思いで仕事をしているつもりでございます。

○郡委員 これまで一生懸命に井戸を掘ってまいりました。また、それを使っていく上でも、使い勝手の悪いところは私どもも一生懸命に応援をさせていただきたい、そんなふうに思っているところです。政権がかわって、総理のリーダーシップがさらに発揮されて、私たちが創設した制度もぜひそれを有効活用していただいて、加速化をしていただきたいというふうに思います。
 さて、幾度かこの予算委員会の中でも取り上げられました入札の不調の問題でございます。
 宮城では、今年度、二〇一二年の四月から一三年の一月までの数字で、発注金額が一億円以上の土木一式工事の不調が二五%、また、三千万円から一億円までは五〇%、一千万円から三千万円で六〇%、一千万円未満ですと実に七一%にもなっております。
 宮城県内の建設工事の入札参加登録業者は、十年間で四分の一に減少をしております。建設業界全体の規模が縮小している中で今回のこの震災が発生し、マンパワーが不足して、全国各地の工事人の方々が今被災地に結集をして復興活動をしていただいているわけでございます。
 今ここにお出ししましたのは、公共工事設計労務単価の推移でございまして、全国各地から多くの工事人を抱えていて、宿泊費もかさむ、それからまた、不足する資材を調達するのに時間がかかる、コストは想定を超えるものがございます。この表というのは、公共工事の工事費の積算に用いるための単価の推移なんですけれども、下落傾向からなかなか脱却できておりません。復興需要での人手不足にもかかわらずであります。
 復旧復興の事業が本格化する去年の今ごろから、何度も不調というのが発生いたしまして、私たちも、工事の範囲の内容の見直し、あるいはまた不調への対応策としてこの労務単価の見直しを、これまでは一年ごとだったんですけれども、三カ月ごとにしていくということをさせていただきました。引き続きしっかりやっていただきたいというふうに思っております。
 広域的に移動が多い技術職の方々については、例えば、被災三県で労務単価に差が出ないように統一単価にするということですとか、また、これまで調査していたものの対象をさらに広げていくなど、適正な調査をさらにしていく、そしてそれを反映していくということが重要なんだと思っております。これは業界団体の方からも要望が出ていることだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○太田国務大臣 入札の不調、おっしゃるとおりです。
 生コンの不足とか人手、さまざまなことがありますが、いろいろな機会に、ここでも答弁させていただいて、そういうことがないようにという中の一つにこの労務単価の推移ということがございます。
 表を見せていただきましたが、これがずっと下がっていったまま。しかも、私が非常に気にしておりますのは、鉄筋と型枠、ここが一番実は不足しているところなんです。そこが上がっていない。
 これは、調査によってということで、三カ月単位ということなんですが、六月、九月、十二月ということで積算をいたしまして、単価見直しをしてきたんですが、この三月にも、調査をしっかり踏まえて、労務単価が上がるように、私としては、調査をしっかりして、やるということをきょうは表明させていただきたいというふうに思っているところでございます。
 また、貴重なお話をいただきまして、被災三県で単一単価ということは貴重な提案であるというふうに思っています。
 県ごとでそれをやるということが原則であるわけですが、この発注は、納税者の公平というようなことからいっても、それぞれ高くするというわけにはなかなかいかないという事情は、それぞれにとって別の角度からいくとあるわけですが、さまざまなそうした難問ということもよく踏まえた上で、適正な価格が設定できるようにということで、さらに努力をしたいというふうに思っています。

○郡委員 平時ではないですので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
 先ほど、土地の権利調整を含めた問題については、黄川田委員とのやりとりにもあって、法務大臣等もお答えいただいておりました。当時の平野大臣が、南三陸や釜石、これを、大変難しいところがあるのでシミュレーションしようということで、着手をさせていただいたというふうに思っております。それが今回、復興庁に設置されたタスクフォースにつながっている、そういう認識で、私も先ほどの根本大臣の答弁を受けとめさせていただきました。
 この土地の問題というのは本当に難しい。私どもも、本当に本当に苦労を重ねてきたことでございます。法整備が必要であるとすれば、それにもいち早く私どもも対応したいと思いますので、協力は惜しみません、どうぞ頑張っていただきたいと思います。
 次は、女性の視点で伺わせていただきたいというふうに思っております。
 日本社会は、世界経済フォーラムが毎年発表しておりますジェンダーギャップ指数、このランキングで百一位、OECDで最下位でございました。OECDは、過去複数回にわたって、男女平等への取り組みが遅いというふうに指摘をされております。
 昨年は、IMFの専務理事であるラガルドさんが、帰る日程をおくらせてまでNHKの番組に御出演をされて、女性が日本を救うというふうに御発言をくださいました。
 こうしたことを意識されてのことだと思いますけれども、安倍総理は施政方針演説の中で、女性が輝く日本として、全ての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、輝けるような国づくりを進めると述べて、先ごろ、官邸に若者・女性活躍推進フォーラムを設置されたというふうに承知をしております。
 第二次安倍政権における東日本大震災からの復興に果たす女性の役割について、どうお考えなのか、伺います。

○安倍内閣総理大臣 復興におきましても、女性の役割あるいは女性の視点というのは極めて重要であるというふうに考えております。
 避難所においても、女性のリーダーのおられるところは、やはり女性の皆さんのプライバシーをどうやって守るべきかという配慮がなされていたというふうに伺っております。
 そこで、御承知のように、復興庁にも男女共同参画班を置きまして、女性の意見を取り入れたまちづくりを行っている事例を収集し、紹介するなどの取り組みを行っているわけでございまして、この復興におきましても、女性の皆様にもしっかりと復興に参画をしていただき、あるいは、これは役所側だけではなくて、一緒に、被災地の方々もともにそういう姿で進めていくことが望ましいだろう、このように考えております。

○郡委員 前向きな、積極的な御答弁をいただきました。感謝いたします。
 三月八日は国際女性デーでありまして、男女共同参画を担当する森大臣も、女性の活躍の推進は、日本経済の再生のみならず、東日本大震災からの復興、国際的な日本の貢献など、さまざまな課題への対応に当たっても欠くことはできないんだというふうに述べておられて、胸をなでおろして、力強くも思ったところでありました。
 私ども民主党政権は、女性の視点というのを、とりわけこの復興については多く取り入れてきたつもりでございます。
 例えば、復興構想会議の「復興への提言 悲惨のなかの希望」、この中の「第四章 開かれた復興」、ここにおいては、地域包括ケアと社会的包摂の推進を述べておりまして、この中に女性をとりわけ強く書かせていただきました。男女共同参画の視点を忘れてはならないと定めさせていただいています。
 また、基本方針におきましても、女性に関連する記述、これを十カ所にわたって盛り込ませていただきました。
 先ごろ、安倍総理のもと、復興推進会議が開かれまして、新政権による復興加速化政策が明らかになりました。これは官邸のウエブサイトにも発表されているので、それを拝見させていただいたんですけれども、この中には、残念ながら、女性というワード、あるいは男女共同参画という記述は一切見当たりませんでした。
 また、メンバーが一新をされました復興推進委員会のメンバー、かつて、十五人のメンバーのうち、四人が女性委員でございました。今回、新たになられた皆様方、女性が一人減りまして三人になりました。いずれの方々も、残念ながら、男女共同参画、女性の視点というのが必ずしも御専門であるかといいますと、これはちょっと頭をひねるなというのが私自身の受けとめ方でございます。
 また、三月の六日、自民党、公明党、与党の皆様方から、「復興加速化のための緊急提言 震災三年目の冬を希望持って迎えるために」というのが政府に提出されたと承知をしております。ここにも、一切、女性の記述は見当たりません。
 政府・与党の復興政策における男女共同参画の視点について疑問を持たざるを得ないな、言行不一致ではないかなと率直に思った次第であります。総理大臣また自民党総裁として、いかがでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 復興推進委員会につきましては、根本大臣のもとで人選を進めたところでございますが、確かに、これを見ますと、四人が三人に減った、これは御指摘のとおりでございます。
 今そういう御指摘をいただいてそのように思ったのでございますが、しかし、旧メンバーにおいては、委員長が五百旗頭さんで、委員長代理が御厨さんでございました。御承知のように、委員長代理が相当、これは委員会を取りまとめていく重要な役割でございますが、今回は、新メンバーにおいては委員長代理に女性の方に就任をしていただきまして、まさに、この委員の中で、一委員としてということではなくて、実際に委員会をマネージしていく立場で進めていっていただくことになったのではないか、このように考えております。

○郡委員 残念ながら、経済畑の皆様方が多くいらっしゃるなという印象でもございました。
 また、私、先ほど、与党の皆さんから提出をされたその提言の中には、女性というキーワードも、また男女共同参画の視点も一切なかったということも指摘をさせていただきましたが、自民党総裁として、こういう提言を受けとめて、どんなふうにお感じになっているのかをお答えいただいておりませんので、お答えください。

○安倍内閣総理大臣 復興という側面で考えておりましたので、今委員の御指摘の視点について、もしかしたら薄かったのかもしれない、このように感じたわけでございますが、しかし、この推進委員会については、女性の活躍の役割はむしろ増したのではないか、つまり、委員長代理という極めて重要な役職をやっていただくことになった、このように思います。

○根本国務大臣 先ほどの推進委員会について、総理の御発言にちょっと補足をさせていただきたいと思います。
 推進委員会は、復興の加速化、新しい東北の創造というものをやりたいんですね。当然、その中には女性の視点は入ってまいります。
 そして、委員につきましては、我々もさまざまな角度から人選をいたしました。東北の未来社会やあるいは経済の活性化を構想できる知識と発想力を持っているかどうか、あるいは地元の知恵や被災地での活動経験、こういうものを多角的に検討して、被災地の現場などで実際に活躍されている有識者を中心に人選をいたしました。
 女性の中には、実際に男女共同参画の観点から活躍されておられる方もおられますし、防災や避難所などでの生活環境に関して男女双方の視点から取り組んでいる方もおられますので、今後とも適切に、我々、男女共同参画の視点も取り入れて、推進委員会の中でやってまいりたいと思います。

○郡委員 発災直後の避難所で女性たちがどういう立場に置かれていたのか。仕切りのない避難所で、プライバシーの確保が難しくて、お布団をかぶった中で着がえをせざるを得なかった。あるいは、乳幼児のいる家族は避難所にいづらかった。また、避難所の女性たちが炊き出しだとか高齢者のお世話や子供のお世話をしなくちゃいけなくて、仕事に行くことができなかった。また、暴力被害や児童虐待、こういうことが増加をした。
 大変困難な状況にあったという、この状況を安倍総理は当時お聞きになりましたでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 避難所を訪問した際、そういう御意見も承りました。ですから、それについては、当時、我々、野党ではございましたが、自民党の要望の中にももしかしたらあったかもしれませんが、そうしたこともアドバイスとして当時の政府に申し上げたことを覚えております。

○郡委員 現在も、暴力、これは増加傾向が見られまして、先日報じられたところによりますと、宮城県警、福島県警へのDVの相談件数は増加をしておりました。福島県警への相談件数は過去最多だったんですね。狭い仮設住宅で、逃げ場のない女性、子供たちがいるわけです。政府は、こうした現状をしっかりと認識され、対応をしっかりととっていただきたいというふうに思います。
 私は、こうした問題の背景には、まだまだ日本の女性の地位というのが、確固たる地位を占めていないのが背景にあろうというふうに思っています。
 制度上の問題も存在しているというふうに認識をしております。例えば、さまざまな制度、義援金や弔慰金、また被災者生活支援金などの支給でも、世帯単位になっていて、個人単位になっていないということなんですね。
 例えば、旦那さんが津波で亡くなった。妻に弔慰金が支払われる場合、専業主婦ですと五百万円の弔慰金が支払われます。パートでぎりぎり百三万円ちょびっとの収入を得ていた女性は、残念ながら、夫の扶養家族というふうにはみなされないために、その弔慰金は二百五十万円になります。
 また、女性が亡くなった場合、旦那さんが受け取った弔慰金は、その女性、妻が働いていたとしても、かなりの年収を得ていたにしても、五百万ではなくて二百五十万です。主たる生計者ではないからなんですね。
 また、こういう例もあります。被災前は三世帯で暮らしていたんだけれども、被災後、やむを得ず世帯が分かれて生活をしなければならなくなった。しかし、義援金も被災者生活再建支援金も、これは一世帯分だけであります。
 また、DVの被害に遭って別居中の妻へは、自分の親や子供の弔慰金であっても、世帯主の夫へ支給される仕組みです。
 私も、政権にいながら、じくじたる思いでありますけれども、ここの風穴をあけることはできませんでした。こういうことを解決していかないといけないんだろうと思っています。安倍総理も、強いリーダーシップで、これを政治主導でぜひやっていただきたいと思います。
 きょうは厚労大臣においでいただいておりますので、この辺について、認識もお話しいただければというふうに思います。

○田村国務大臣 今委員からお話がございました義援金に関しては、市町村が地域の実情に応じてこれを支給しておるわけでありまして、実態は世帯主という形になっておりますし、また、災害弔慰金も、災害でお亡くなりになられた遺族に対しまして、法律にのっとった順位でこれを支給しておる。
 これは、遺族に対して支給するとなっておるわけでありますけれども、便宜的には、自治体の実態はどういうふうになっているかというと、一番初めに申請をされてこられた方に対して、遺族の代表ですねというような確認をするところもあるんですけれども、そこにお支払いをされておられるというような状況のようでございます。
 個人に支払うのがいいんじゃないか、支給するのがいいんじゃないかというお話でありますが、多分、自治体、現場は、大混乱の中で、全ての個人を特定して、個人個人に支給することがなかなか困難だということも現状としてはあるのであろうと思います。
 そういうことを考えながら、個人に支払うという意味からすれば、今、それぞれの自治体が実態はどうなっておるのか、こういうことをしっかりと情報収集させていただいて、できれば、おっしゃられるとおりでございますので、事例を集めながら、厚生労働省としても、どういう対応をしていけばいいのか検討させていただきたいというふうに思っております。
 また、災害弔慰金等々の支払う金額に関して、これは法律で決まっておるものでありますから、風穴をあけるのは難しいというお話でございましたけれども、ちょっとこれは、どういうふうに検討していくのかということも含めて、いろいろな議論はさせていただきたいなというふうに思っております。

○郡委員 ありがとうございます。ぜひ議論をこれからも進めていきたいと私自身も思っております。
 それから、厚労大臣が、どういうふうな状況に被災自治体でなっているのか、まだ把握ができないというふうなこともおっしゃったわけです。大変だろうということですが、実は、阪神・淡路大震災のときに西宮市役所の情報システム担当職員が開発をして、現在、総務省から全国の地方自治体に提供されているシステムがあるんですよ。被災者支援システム、ここに被災者台帳というのが盛り込まれておりまして、この被災者台帳は個人単位での利用が可能になっているんです。
 被災者支援システムの整備状況、それではどうなっているのか、お尋ねしたいと思います。

○関政府参考人 お答えいたします。
 今お話のございました西宮市で開発されました被災者支援システムを含めまして、被災者の支援のための情報システム、これを整備している状況ですが、平成二十四年四月一日現在で、市区町村で、二百八十団体が整備済み、百七団体が整備中ということでございます。
 なお、現在、内閣府の方におきまして、中央防災会議の検討会議の報告を踏まえまして、被災者台帳の法的な位置づけを検討していると承知しておりますので、総務省といたしましても、地方公共団体などの関係者の方々の御意見を伺いながら、具体的な情報システムのあり方やその導入に関しまして、この検討に協力してまいりたいと考えております。

○郡委員 ぜひ推進をしていただきたいというふうに思います。
 三本目の矢というふうに言って申しわけないんですけれども、被災地の子供たちのことについて、安倍総理にもお尋ねをしたいというふうに思っております。
 被災地では、多くの子供たちがまだ仮設の校舎で勉強している状況が続いているんですね。この冬は例年になく大変厳しい寒さでございました。
 それらの学校に対して、地元仙台の教育委員会から、高騰する暖房用の燃料の使用節減を求める通知が送られました。きょうお配りしている資料の中にも入っておりますけれども、暖房費は、実は当初予算で決められるんですね。ですから、想定外の高騰には対応し切れないんです。学校ごとに本当に涙ぐましい努力をし、対応してきたわけですけれども、中には、コートを着て寒さに耐えながら勉強する子供たちもおりました。
 円安の結果がこのような通知をもたらしたものとも言えなくもないというふうに思います。アベノミクスならぬアベノリスク、総理はどういうふうな御感想を持たれますでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 確かに、現在、金融緩和を行っている中においてさまざまな現象が出ているのも事実でございますが、一方、例えばJTの株の売却益については復興に使われることになっているわけでございますが、これは、当初は売却益は五千億円だったものが九千七百億円に上がったわけでございまして……(郡委員「私の質問に答えていただいていないです」と呼ぶ)

○山本委員長 いやいや、円高と関係しているでしょう。

○安倍内閣総理大臣 まさに今、円高について質問されたわけでありますから、円高、つまり経済政策に絡めて質問されたから、経済政策に絡めてお答えをさせていただいているわけであります。
 つまり、その中でいろいろな側面があります。確かに、残念ながら、原油については、これは円安だけではなくて、そもそも中東情勢の大きな変化によって原油が上がっているという問題点があります。それに加えて、我が国において、いわば原子力発電所がとまっているという中において、購入する上において購買する方の力が弱まっているということもあるわけでございます。
 その中で、そういうこともありますが、今申し上げましたように、JT株が上がった結果、売却益が五千億円だったものが九千七百億円、つまり、四千七百億円、被災地のために使えるお金がふえたんですね。これはよかったじゃないですか。
 ですから、そんな顔をせずに、こういうことも、これはいわば結果として被災地のために、復興のために使えることになったわけでありますから、お互いにそういうところは評価し合った方がいいんだろう、こう思うわけでございます。
 その中において、今御指摘になった点は円安という観点から御質問があったわけでございますが、一方、この暖房費については、お話をさせていただきますと、被災した子供たちが勉強にふさわしい環境の中で安心して学ぶことができるようにすることは極めて重要である、こう考えております。御指摘の点も含めて、児童生徒の健康面にも十分配慮した適切な教育環境が確保されるよう、政府としても教育委員会に対して必要な指導を行っていきたい、このように思います。
 繰り返しになりますが、今、では、円安が悪い側面だけなのか、我々が行っている経済政策が悪い側面なのかといえば、それはそんなことはなくて、おおむね経済はいい方向に向かっている。それは、仕事をつくっていくことにもつながっていくわけでもありますし、何よりも、復興のための財源、これをしっかりと確保していくことにも資する、私はこのように考えておる次第でございます。

○郡委員 アベノミクスについては、大変な評価があり、そしてまた好評であるというのも承知をした上で、しかし、一方ではこういうこともあるのだ、こういうことにもしっかりと目配りをしていただきたいというふうに思います。
 それとあわせて、被災地の子供たちの困難というのはまだ続いておりまして、狭い仮設住宅で、勉強机のある子供さんというのは本当に少ないんですね。民主党政権下で、集会所に勉強スペースをつくらせていただきました。また、NPOやNGOなどの皆さんたちを応援させていただいて、勉強を支援していただく、そういう活動もしていただいているところです。
 経済状況も厳しくて、沿岸地域のある中学校、実は、先日、卒業式を終えたんですけれども、津波で一階部分が被災をしておりまして、しかし、二階部分はまだ使える。勉強はほかのところに間借りしてやっているんですが、その被害があった二階で卒業式を終えたという子供たちにも会ってまいりましたけれども、その沿岸地域の中学校、就学支援を受ける率が大変高まっているわけですね。私たちの政権でつくった被災者就学支援事業、そして一般の生活保護世帯等にも給与されることになる就学支援ですけれども、これを受給する生徒が八割を超えている学校もあるんです。
 生活保護基準の引き下げが行われた場合に、この基準が連動しているということで、これは長妻委員もずっと質問をさせていただきましたけれども、その影響がないようにお願いをしたいということと、またあわせて、被災者就学支援事業の延長をしっかりとお願いしたいというふうに思っております。
 また、高校生には、これもなかなか伝わっていなかったことかもしれませんけれども、使っている皆さんたちには大変好評で、ありがたいと言っていただきました。事実上の給付型と言っていい奨学金制度を、高校生に私どもはつくらせていただきました。宮城県では八千名ほどがこれを利用しております。
 被災地の子供たちは復興の担い手として活躍するわけで、学習の機会をぜひ、学ぶことを諦めることがないように、この支援制度の延長、二十七年度以降の延長についても明言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○下村国務大臣 お答えいたします。
 まず、先ほど、仙台市の灯油の件がございました。
 文部科学省で確認をさせていただきましたが、仙台市の教育委員会によれば、毎年十月下旬ごろ、各学校が使用する暖房用灯油の配当量を一回で通知しているそうですが、ことしは、灯油の購入単価が上がったため、予算の執行状況を見て過不足のない配当を行うため、平成二十四年十月の段階で二回に分けて配当することを決め、一回目の配当を平成二十四年十月三十一日、二回目の配当を平成二十五年二月六日に通知したということで、各学校への配当量は前年と比べて大きな変動はないということでございます。
 ただ、委員からの御指摘もございました。子供たちにとって学習状況が、十分に勉強できる対応ができるように、自治体に対しても、そういうふうに対応しているということでございましたが、改めて確認をいたします。
 それから、今お話がございました生活保護については、教育関係就学支援金等は下がらないように二十五年度の予算にも措置をされておりますし、今後についても、要生活保護世帯においても、各地方自治体にお願いをしながら、レベルダウンをさせないようにしっかりと対応するようにしていきたいというふうに思います。
 そして、今御指摘の被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金でございますけれども、これは小中学生に対する学用品等の援助。それから、高校生に対する奨学金事業について御指摘がございましたが、これは、貸与を受けた者の年収が一定額未満の場合は返済を免除する。給付型とはちょっと違いますが、収入によって、低ければ返さなくてもいいということでございまして、これについてはしっかり取り組みをしてまいりたいと思います。
 今後、平成二十三年度当初と同様の取り扱いを平成二十六年度まで実施するために必要な経費は既に全額国庫負担で措置しているということでございますので、各自治体において従前と同様の事業の実施が可能でありますが、文部科学省として、今後、二十七年度以降についても、復興基本方針や被災地のニーズ等を踏まえ、児童生徒、幼児、長期的な就学支援が必要であるというふうに考えておりますので、適切に取り組んでまいりたいと思います。

○郡委員 ぜひ二十七年度以降の継続もお願いいたします。
 質問を終わります。


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