郡和子の活動報告

2013年03月27日(水)

2013年3月27日の活動レポート

183回通常国会-衆議院-文部科学委員会 郡和子質問   平成25年03月27日

○郡委員 民主党の郡和子でございます。
 まず、おくればせながら、下村大臣、大臣御就任おめでとうございます。
 きょうは、大臣と御一緒にいろいろと質疑をさせていただきますけれども、幾つか気になる点、特に、被災地ということもありまして、被災地の子供たちのケア等についても伺わせていただきたいと思います。
 冒頭は、まず、大臣も所信で述べられておりました、スポーツ立国の実現を目指すということに関してでございますけれども、いわゆる全柔連問題でございます。
 スポーツ界の指導及び指導者のあり方について、これまでも一部で問題視されてきた実情が明るみに出たというふうに思っています。とりわけ女性アスリートと指導者との関係性におきまして、水面下にあったパワハラですとかセクハラですとか、こういった問題を告発する声がようやく上がり始めた。この問題は、実は、スポーツ界のみならず、絶対に許されない人権侵害を暗黙のうちに許容してきたこの国のあり方そのものを問う深刻な問題だというふうに私は認識をしているところです。
 スポーツ界では女性アスリートが活躍する場面が急激に拡大をしているわけですけれども、この問題を乗り越えることこそが、アスリートと指導者との関係、また指導者のあり方の大改革につながって、スポーツ界の活性化とアスリートの飛躍に結びつくと確信しております。
 政府の御対応をお尋ねしたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

○下村国務大臣 エールをありがとうございます。
 今般、女子柔道日本代表チームの監督が指導において暴力行為を行った事案が生じたことは大変遺憾なことでございます。
 昨日、全日本柔道連盟は理事会を開催し、具体的な指導指針の策定と周知、指導者資格制度の確立、女性監督、女性コーチの導入などを内容とする第三者委員会の提言、コーチの資格制度の確立や定期的講習制度の導入、監督、コーチ、選手等の信頼関係の醸成等を含むJOCの改善勧告を踏まえ、全柔連改革・改善実行プロジェクトを設置し、改善に取り組むというところでございます。
 文科省としては、今後とも、この全柔連の対応を注視してまいりたいと思います。
 また、ことし二月五日、私がメッセージとして「スポーツ指導における暴力根絶へ向けて」を発しました。ここでもお示しいたしましたが、指導者が暴力によらず後進をしっかり指導できる能力を体得することができるよう、スポーツ界において指導者の養成、研修のあり方について改善が行われることが必要だと考えております。
 文部科学省においても、有識者会議を設置し、コーチング等やスポーツ医科学に立脚したスポーツ指導のあり方を検討することにしております。引き続き、JOCや日本体育協会等スポーツ界と連携しつつ、スポーツ指導における暴力根絶に向けてしっかりと取り組んでまいります。

○郡委員 この件につきましては、後日、機会があれば、またじっくりと大臣と議論をさせていただきたいというふうに思っております。
 次に、去る三月二十一日、参議院の文教科学委員会における質疑について幾つか確認をさせていただきたいと思っております。
 先ほども笠委員の最終質問にございました幼児教育の無償化についてでありますけれども、林久美子委員の質問に対しまして、大臣は、幼児教育の無償化については事実上二十五年度からスタートすることにしたと答弁をされました。それに続いて、ただ、これは全ての第三子目が無償化でありますけれども、三番目、三人全員がその三、四、五歳の対象年齢に入っていなければ、残念ながら第三子目が無償化ではありませんと答弁をされました。
 これは、来年度の幼稚園就園奨励費補助事業の多子世帯の負担軽減拡充の御説明だったというふうに受けとめさせていただきました。
 幼稚園に三人のお子さんが同時に就園をする場合に、三番目のお子さん以降は、保育所などと同様に所得制限を撤廃して、全ての園児を補助対象にして無償化する措置だというふうに理解をしているわけですけれども、三人が同時に入園をする状況といいますと、年子か、あるいは三つ子か、双子と兄弟か、いずれにいたしましても、無償化となる子供はほんの一握りだというふうに思います。
 対象となる子供の人数、それから想定している予算はどれぐらいでしょうか。

○下村国務大臣 文部科学省の平成二十五年度予算において、幼稚園に同時就園する第三子以降の園児のうち、所得制限の撤廃により新たに幼稚園就園奨励費補助の対象として経費を計上することになりました園児の数は、約八百人でございます。その予算額は約六千三百万でございまして、事実上、まず二十五年度はこの八百人から無償化対象ということになるわけでございます。(発言する者あり)

○郡委員 今、そんなのでいいのかと声がかかりましたけれども、これで二十五年度、幼児教育を無償化しましたと本当に言えるのかどうか。針小棒大と言わざるを得ないというふうに思います。
 次に、本来の意味での幼児教育無償化ということになりますけれども、三歳から五歳までの幼児教育を受ける子供の教育費を無償化する場合の予算、これは七千九百億円だと御答弁されました。この七千九百億円には、保育園や認定こども園に就園している子供たちの保育の無償化も入っているとのことであります。
 この予算の財源についてなんですけれども、社会保障と税の一体改革で新たな子供支援政策に投じられることになっている七千億円、あるいはプラスアルファで一兆円とも言われているこの予算の財源との関係性について問われまして、大臣は、子ども・子育て支援体制との関係の中で、今後どう議論するかということは一つの議論ですが、新規に今のテーマをその中に入れようという予定はない、幼児教育の無償化の財源をそこに入れるということを今考えているわけではないと御答弁されました。
 私は、今はない、今考えているわけではないという言い回しが大変気になるわけでございまして、先ほどもお話しでしたけれども、政府・与党で検討会を立ち上げられたそうですけれども、今後の検討の中で、無償化の財源を一体改革の予算財源の中に入れる可能性はないというふうに理解してよろしいのかどうか、明確な御答弁をいただきたいと思います。

○下村国務大臣 まず、二十五年度の予算の中で第三子無償化はスタートであるということを申し上げたわけでありまして、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
 そして、子ども・子育て支援新制度については、昨年六月の自民、公明、民主の三党合意において、「幼児教育・保育・子育て支援の質・量の充実を図るため、今回の消費税率の引き上げによる財源を含めて一兆円超程度の財源が必要であり、政府はその確保に最大限努力する」とされているところでございます。
 幼児教育無償化の財源については、今後、関係府省と連携し、検討を進めてまいりたいと考えておりますが、現時点において、子ども・子育て支援新制度に充てることとしている財源を、参議院の委員会でも述べたとおり、幼児教育無償化に充てることを予定しているものではございません。

○郡委員 明確に、予定しているものではないということで、充てないというふうに御答弁をいただけるかどうかです。

○下村国務大臣 文部科学省だけの政策であればそのように明言をしたいところでございますが、これは、厚生労働省それから内閣府の三府省、それから与党との連絡協議会の中で議論をするということになっております。しかし、文部科学省として、また私の立場として、充てないということで、財源については今後ほかの部分で検討をしてまいりたいと考えております。

○郡委員 つまりは、議論の俎上にのせられる可能性はあるというふうな御答弁だったのだろうというふうに思います。ぜひ、大臣、今のお答えをしっかりとその検討会の中でも言っていただきたいというふうに思います。ぜひそのようにお願いをしたいと思います。
 次に、安倍政権の教育政策について、その方向性、理念について伺わせていただきたいというふうに思っています。
 大臣も所信の中で、第二次安倍内閣は経済再生と教育再生を内閣の最重要課題として掲げて取り組んでいる、日本の将来を担う人を育てる教育の再生に取り組むというふうに、強い御決意を述べられたというふうに思っております。
 安倍総理は、著書「美しい国へ」の中で、イギリスのサッチャーさんが行った教育改革を大絶賛されております。与党の教育政策は、サッチャー政権の教育改革を念頭に置いている一面が見受けられるというふうに私は受けとめておりますけれども、下村大臣はサッチャー政権の教育改革をどう評価されていますでしょうか。

○下村国務大臣 私も、イギリス、サッチャー教育改革について特に学ぶべきものがあるというふうに考えまして、それを「サッチャー改革に学ぶ教育正常化への道」という、共著ですが、PHPから出版をいたしました。その中で、「国家戦略としての教育」ということで、視察に行ったことを我が国で参考にできる部分があるのではないかということで著書にも書いたところでございます。
 ただ、制度は、この制度にすることによってパーフェクトに全て解決するというものではなくて、どんな制度にしても、必ずその制度におけるプラス面、マイナス面もあるわけでございまして、イギリスにおけるサッチャー教育改革全てが成功した、全てがよしと思っているわけではございません。その中で参考になる部分については積極的に活用すべきではないかというふうに思っております。
 特に、一九八〇年代にイギリス国民に対してサッチャー教育改革を行うことによって、自尊心を育てる教育を行った、また教育水準の向上を目指す教育改革を行った。いろいろな、手段については必ずしも我が国がそのまま取り入れられるとは思えない部分もありますが、しかし方法論としては参考にすべき部分があるのではないかと思います。
 具体的に、例えば、これは我が国を逆に参考にしたわけでございますけれども、国定カリキュラムの作成や全国共通学力テストの導入、それから、我が国では導入されていませんが、学校査察機関の設置、また学校評価制度の導入、そういうふうな改革を実施したということでございます。
 いい部分については、イギリスだけでなく、ほかの国の教育制度改革等も参考にしながら、活力のある教育再生を行うことによって日本がよみがえるような国になるよう、教育の部分から取り組んでまいりたいと思います。

○郡委員 私の認識はちょっと違っておりまして、このことはさまざまなところでも指摘をされていると思いますけれども、新自由主義的改革、つまり、国民に権限を与えるとともに自己責任を負わせる改革、これが教育改革の中にも盛り込まれたわけでございます。つまりは、学校の自律性を高めて裁量権を拡大して、地方自治体の権限を削減するなどです。保護者には学校選択の権利を付与するのとあわせて、学校理事会制度を通じて学校経営の責任を負わせたというようなこともあったわけでございます。
 このサッチャー改革では、基礎学力は実は向上いたしませんでした。しかも、教育機会の格差というのが拡大をいたしまして、放校、退学処分者が続出して、彼らによる犯罪も増加したわけです。
 教育の荒廃をとめたのは実はブレアでありまして、教育機会の地域間格差それから階層間格差の是正、いわば落ちこぼれを出さない施策を大変力強く進め、社会保障費を削って教育予算を三割ふやした、こういうことでイギリスでの教育改革がうまくいったんだろうというふうに思っているわけです。
 私は、今回のこの教育改革において、このサッチャー改革が色濃く反映されている、しかもサッチャーさんが言っていらっしゃった植民地政策が生んだ自虐史観の偏向教育を是正する、こういうことも含めて、安倍政権が取り組まれている教育改革というのは多少問題があるんじゃないだろうか、そんなふうに考えてもいるところです。
 次に、被災地の議員でございますので、その件についてでございます。
 所信の中でも、大臣は、東日本大震災からの復旧復興ということで、被災者の心に寄り添うということをおっしゃられております。
 子供さんを支援しているチャイルドラインみやぎの調査によりますと、相談電話の事柄別集計というのがありまして、二〇一一年は心に関することというのがとても多かったんですね。二〇一二年では進学、将来のことというふうに変わってきたんですが、二〇一一年は心に関することとあわせて虐待、暴力ということについてが全国と際立った差を見せておりました。被災地の子供たちに被災後どんなことが身の回りに起こったのかということを想像させる数字でございました。
 こうしたことに対応するためにも、被災地の学校におきましては、子供の心のケアの問題も勘案し、教職員と子供たちや保護者との継続的、安定的そして濃密なかかわり、人間関係の構築というのが大変重要になってくるんだろうというふうに思っています。
 公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議、一昨年の八月十九日に行われたものを見せていただきましたけれども、被災三県から意見が出されていますね。宮城県からは、校舎が被災して仮設校舎、ほかの学校の校舎を間借りする状況が長期化する可能性もあります、児童生徒の心のケアの面からもきめ細かい指導が必要でありますことから今後とも継続した加配をお願いしたいと思っております、家庭環境の激変が原因で経済状況の悪化まで進んでいるのが現状であります、児童生徒の心の変化に対応するためにも生徒指導加配や少人数等の加配の措置がこれまで以上に必要になるところでありますというふうに述べられているわけなんですけれども、この加配の問題に来年度予算でどういうふうに対応されましょうか。また、二十六年度以降も継続すべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

○下村国務大臣 お答えいたします。
 先ほどの御質問にまずお答えしたいと思いますが、ブレア政権も、教育、教育、教育ということの中で、サッチャー政権からの十八年間の中の教育のマイナスの部分について是正する中でさらに教育改革を進めたというふうに私は認識しておりますし、いずれにしても、イギリスにおいて、政権交代を経ても、教育については力を入れて、サッチャー政権そしてブレア政権でよみがえるイギリスをつくってきたのではないかというふうに評価しているところでございます。
 その上で被災地の問題でございますが、御指摘のように、被災した児童生徒に対するきめ細かな学習支援や震災による心的被害に対するケア等への対応が必要であると認識しております。
 このため、東日本大震災に係る教育復興支援加配として、平成二十三年度には千八十人、平成二十四年度には千三十一人の教職員定数措置をいずれも関係県から申請どおり、そのまま要求どおり実施したところでございます。
 この加配措置については中長期的に継続した対応が必要であるというふうに私どもも考えておりまして、平成二十五年度予算案においても、被災した児童生徒の学習支援のため一千名の定数措置を計上いたしました。
 ちなみに、阪神・淡路大震災のときも加配措置を十五年間継続したということでございますし、これを参考にしたいというふうに思います。当然、平成二十六年度以降も、各県からの要望等を踏まえ、息の長い支援をしてまいります。

○郡委員 ぜひよろしくお願いをします。私どもも背中を押させていただきますので、ぜひともお願いしたいと思います。
 加えて、今、被災地では、多くの学校が、御承知のように、仮校舎であったり、また、ほかの学校に間借りをしたりしているわけです。そうした学校の校長先生や教頭先生、先生方は、避難、復旧の厳しい体験を子供たちとともに一緒に乗り越えてきたわけです。
 そうした子供たちにできる限り寄り添って成長を見守っていきたいという意思を持っておられる方々が多くおいでです。加配の臨時任用も含めまして、平時のルールでの人事異動というのは行うべきではないというふうに思うんです。子供の成長と地域の復興が見えてくるまでの一定期間は子供たちとともにありたいという意思を尊重した人事を行うべきだというふうに考えているわけです。
 実は、これは被災した小学校の校長先生が、児童の引き渡しが終了するまでの避難についてということで、大変克明におまとめになった文書がございます。実は、この校長先生は、ぜひとも、この子供たちと一緒に成長を見守りたい、そして、ここで得た知見をさらに生かしていけるようにしたい、そういうふうに思っておられました。しかし、その年が終わってすぐ四月には異動になられたんですね。
 本当であれば、同じ経験をともにした先生方には子供たちも信頼が厚いわけです。ぜひとも、平時のルールではない人事異動をお願いしたいと考えているわけなんですけれども、この人事権についてはそれぞれの自治体の教育委員会等に委ねられるのでしょうけれども、被災三県において、被災地に配慮した人事をどのように行っているのか、現状認識を伺いたいと思います。

○布村政府参考人 お答えいたします。
 被災三県における教員人事においての被災地に配慮した人事の状況でございます。
 平成二十五年度に向けた人事におきまして、宮城県におかれましては、被災地域の学校の活性化を図ろうという観点で、被災地域内の学校への留任を希望した教員の可能な限りの留任、あるいは、被災地域への広域的な異動や被災地域出身の教員の被災地域の学校への配置、また被災地域出身や被災地域の勤務を強く希望する新規採用教員の被災地域の学校への配置、また養護教諭の配置拡充による被災地域の児童生徒の心のケアの充実という方針で取り組んでおられると聞いております。
 また、岩手県におかれましては、沿岸部と内陸部の交流の積極的な実施、それから被災地域の学校を過去に経験した校長の沿岸部の学校への配置、また被災地域の学校への主幹教諭の配置という取り組みを進めておられるようでございます。
 また、福島県におきましては、県外へ避難した児童生徒が多い県への教員派遣の継続、それから被災地域において再開する学校への加配教員の配置という形で、各県の、また被災地域の状況に配慮された人事異動の方針をもって人事を行っておられる状況と承っております。

○郡委員 ありがとうございます。
 ぜひ、平時のルールではない人事異動をお願いしたいと思います。
 今、子供たちは、仮設住宅から遠距離通学で学校に通っていて、時間を奪われております。仮設住宅の空間で、十分な自分の居場所を確保できない状態も続いています。避難生活で仲間と離れるというような状況もあります。時間、空間、仲間というこの三つの間、間というのが必要で、勉強だけじゃなくて、遊びですとかクラブ活動などがとても重要になっているんだろうなというふうに感じているところです。
 学校やNPOが、そういった意味で、広い学習を、クラブも含めてですけれどもサポートする、学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業は、地域や学校のアイデンティティーを保つ上で本当にとてもありがたい事業だというふうに思っています。この事業をぜひ二十六年度以降も継続すべきだと思いますけれども、大臣、短目にお答えいただければ幸いです。

○下村国務大臣 御指摘のように、学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業を実施し、学校や公民館、仮設住宅等において、子供たちの学習支援や地域住民との交流活動を支援する、これは大変重要なことであり、平成二十五年度予算において十二億円計上し、これからも引き続き、被災地の要望を踏まえて継続、努力をしてまいります。

○郡委員 二十六年度以降もぜひお願いをします。
 最後になりますけれども、被災地への修学旅行についてお尋ねをしたいと思います。
 地元、河北新報の三月八日の記事でございましたけれども、会津若松や松島など東北の主な観光地は観光復興を実感できずにいる、会津若松市への修学旅行は震災前の一〇年度、県外から八百四十一校あった、一二年度は二百十校と一一年度の倍にふえたものの一〇年度の二五%にとどまる。会津若松の観光物産協会の方は、震災前の三五%まで戻ってきたけれども首都圏が苦戦している、距離が離れれば離れるほど会津も福島だと一くくりにされると表情を曇らせたというふうにありました。
 しかし、被災地への修学旅行、研修旅行の効果は、実際に来られた学校によれば、本当に効果が大きいというふうにお話しになられています。
 大臣は、所信表明で、いじめ、体罰問題への対策の一環として、規範意識や自主性、社会性を育む道徳教育の抜本的な充実を図る、このように表明をされたわけですけれども、被災地では、子供たちが、まさにこの規範意識や自主性、社会性を発揮して、地域の高齢者や年下の子供たちを介助しながら避難し、多くの人命を救助いたしました。
 そしてまた、その被災地の子供たち、また地域社会と交流をするということは、まさに生きた教育になると確信をしております。道徳の教科化というよりも、まさに道徳の実践教育が、この修学旅行であり研修旅行になっているというふうに私自身は思っているわけでございます。
 政府として、被災地への修学旅行、研修旅行の実践を奨励すべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

○下村国務大臣 修学旅行は、学習指導要領における特別活動に位置づけられており、その行き先等の内容については、地域や学校の実態及び児童生徒の心身の発達の段階や特性等を十分考慮して、各学校において定めるべきものでございます。
 このため、文部科学省としては、被災地への修学旅行については、平成二十三年度から、各都道府県教育委員会の生徒指導担当者が参加する会議において、東日本大震災の被災地への遠足を実施した事例や、被災地への研修旅行を実施した事例等を紹介しているところでもございます。
 また、平成二十三年八月、各都道府県教育委員会等に対して、今後の修学旅行の実施に当たっては、風評に惑わされることなく、現地の正確な情報に基づき、できる限り予定どおりの実施が望まれる旨の観光庁の意向を周知したところでもございます。
 私自身も、中学生五十人ほどと陸前高田に一緒に、ボランティア、復興支援、現地の人との交流で行ったことがございますが、そのことをきっかけに中学生たちの意識が物すごく変わりました。そこは野球チームでありましたが、自分たちがやれることは一生懸命やろうということで、一日、二日で意識が物すごく変わったという体験をしておりますし、多くの子供たちにそういう環境を提供することは、教育上も大変望ましいことであるというふうに考えております。

○郡委員 ここに、福岡の高校生なんですけれども、被災地を訪問した後の報告書がありますけれども、これも、本当に私も胸が熱くなって読ませていただきました。
 高校生の一人は、研修旅行で心に刻まれたことが二つある。一つ目は他への感謝、ボランティアさせていただくことへの感謝、被災時の様子を伝えてくださることへの感謝、そして何よりも自分がいる環境への感謝。二つ目は常の意識、阪神・淡路も中越も経験していないけれども、大震災が起きても対応できるような常の意識を養うことが大切だと。
 中高生というのは非常に多感な時代でして、親御さんや学校の中でもともすれば反発をする、そういう時代でもあるんだろうと思いますけれども、被災地の様子を目の当たりにして、本当に大きく変わるんだというふうに思います。
 ぜひ、千年に一度の被災は千年に一度の学びの場にもなっているということを御認識いただき、奨励していただきたいと思います。
 ありがとうございました。


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