郡和子のコラム
2007年05月17日(木)
消えた年金 国の制度でも自己責任の不思議
このところ新聞紙上でも報道されている。多くの方が感心を持って記事を読まれていることだろう。
払った年金記録が消えている?という問題。私たち民主党の追及で明らかになった問題だ。
ダブったり、もれたり、消えたり、とにかくすごい数字が次々出てくる。
宙に浮いている年金記録は5095万1103件。
これは97年に年金加入者全員に基礎年金番号が割り当てられたのだが、その前に、結婚したり転職したりで、複数の番号を持っていた人の統合が出来ず、誰のものか分からないままになっている記録の数だ。
すでに受給年齢に達していてるのに給付に結びついていないものは1900万件もある。
そして、受給している年金額が途中で変更になっている例、01年からの6年間で22万件に上る。
受け取る額が増額になったり減額になったり、つまりは、支給漏れが後でわかって急に増額、また誰か他の人の分だったと急に減額されたり。その詳細はまだ明らかになっていないが、ある日急に変更された例だ。
更に、自分の年金記録を確認したら収めたはずなのに「記録がない」と本来受け取る年金額から減額された年金しか支給されていない人、支給される予定の人が、実に想定100万人。
あきれる杜撰な管理。
未納や不正免除の問題も深刻だったが…、そればかりではなかった。
年金は国の制度として加入が義務化され国が預かっていて運用しているのだ。
おかしいと思って何年も社会保険事務所に納付記録を確認して欲しいと頼んでも門前払いされ泣き寝入りしている人も少なくない。気付かずにいる人も少なくないのではないか。
個人が調査を求めようとも、領収書がなければ駄目だ(自治体が徴収していた時代発行した領収書には保存期間5年と明記されたものもあったのだから、捨てた人が多いはずだ)、あるいは、すでに時効なので払えないとされ、やむなく裁判を起こした人がいる。
原告は「国による詐欺だと思う」と話す。
なのに、今国会で審議しているのは、これほど管理が杜撰だった社会保険庁を特殊法人に衣替えする「日本年金機構法案」なのだ。
社会保険庁長官も幹部も厚生労働大臣も、もちろん総理も、このことに関しては一言の謝罪もない。どころか、調査をお願いしても「社会保険事務所に出向けばしてやってもいい」という政府の答弁なのだから驚いて声も出ない。
与党は組合たたきをするばかりで国としての責任を糾さない不思議。
これで100年安心の年金制度にしたと豪語する政府の不思議。
老後の生活資金となる年金への不信は更に広がるだけだ。
このダブり・漏れ・消失問題の解決が年金の信頼回復の大前提だと思う。
5000万件の宙に浮いた記録を調査しなければ始らない。
受給を控えている人も、まだ受給まで遠い若い人も、自分は大丈夫なのか、確認だけはしておいたほうがいい。
国の制度でも、自己責任の、不思議。
私たちは、年金の信頼を取り戻す3つの法案を提出し安心できる年金制度改革に取り組む。
力を貸していただきたい。
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