郡和子のコラム

2008年08月01日(金)

福田改造内閣~安心「実減」内閣

安部さんからのお下がりの内閣から自前のカラーを出すとの決意で断行された福田改造内閣が一日スタートしました。皆さんの評価はいかがでしょう?

昨年総裁選挙で戦った麻生さんを幹事長に、そして、伊吹さんは横滑りというのでしょうか閣外には出せず出身でもある財務省トップに、そして、消費税増税論者の与謝野さんを経済財政諮問会議を束ねる担当大臣に起用しました。
また、拉致問題での取組みで人気浮上を狙うのでしょうか、少子化担当大臣に中山恭子さん、文部科学大臣の鈴木恒夫さんは、今年の年頭今期限りで衆議院から身を引くと言っていた人でした。
また、小泉改革路線とは違うのだとのメッセージでしょう、郵政造反組の野田聖子さんを消費者行政担当、保利耕輔さんを政調会長に迎えましたが、なんとも、つぎはぎだらけの印象がぬぐえません。

改造を終えた1日夜の記者会見で衆議院解散・総選挙の時期を訊ねられた福田総理は「解散を論じるより政策の実行」と、解散・総選挙はこの内閣で実績を残した後だとの姿勢を強調されていました。
そして、自らの内閣を「安心実現内閣」と命名して見せました。が、しかし、その福田さんの顔が自信なさそうに見えたのは私だけではなかったと思います。
政府・与党の「安心」は「安心できない」ことを、「100年安心の年金制度」から私たちはすでに十分過ぎるほど学ばせていただいたのですから、無理もないでしょう。

福田改造内閣が何をしたいのかをくみ取った方はおられましたでしょうか。
よく…わからない…、そんな声が聞こえてきます。そう、私もよく分かりませんでした。

「昨年9月の就任以来、国民目線での改革を進めてきた。しかし、ガソリンや食料品価格高騰の影響で生活が苦しくなったと感じている方が多い。生活改善を実感できる政策の実現を重視した新たな布陣にした。」
国民目線で本当にこの一年、福田さんは政治のリーダーシップを発揮してきたのでしょうか?
原油高のせいばかりではありません、ガソリンの暫定税率を数の力で復活させたのは、どなただったでしょうか?

「年金、医療、介護など社会保障制度のあり方について逃げることなく根本から見直す。」
これほどセイフティネットに穴があき格差拡大に拍車がかかっているのに、来年度も2200億円の社会保障費削減を決めていて「逃げることなく根本から見直す」とは何をどうするとお考えになっているのでしょうか?

「行政のムダ・ゼロ、低炭素社会実現などは着実に進んでいる。」
霞が関改革もままならず天下り温存で無駄ゼロでしょうか?
2050年までに温室効果ガス70%を削減するといっても福田さんは2050年いったい何歳になられるのでしょうか?私だって生きているのは難しいかもしれません。もう少し検証可能なスパンで進めなければならないことなのです。

「テロとの戦いやイラク、アフガンの復興は極めて重要。」
今やアメリカ世論はイラクからの軍の撤退が大多数、大統領選の行方も考慮せずに国内の燃油高の悲鳴に対応しないままタダで給油を続けるのが本当に国益の適うのかどうか?

こうしてみると、新しく大臣になられた方々には申し訳ないのですが、もはや福田さんの下では何も好転しない「安心‘実減’内閣」で、むしろ「解散・総選挙加速内閣」と言えるかもしれません。

政府与党の来年度予算シーリングでは、80兆円規模になる一般会計のうち、いわゆる政治枠は3300億円ということです。今年度の500億円と比べると大幅増ですが、これは総選挙をにらんでの大盤振る舞いの姿勢。しかし、80兆円のうち3300億円は約0.4%でしかありません。
政治の決断でお金の使い道を決められないのがこの国の実情、そう、あくまで財務官僚の手の中での予算編成に代表される「官僚内閣制」です。

今、皆さんが望んでおられるのは、未来に希望の持てなくなった日本を変えてほしいという、内閣改造ではなく日本の政治そのものの改造ではないでしょうか。
それは今の政権党では果たせない「官僚内閣制」からの脱却でもあります。

政権交代へ向けいよいよ最終章の幕が開き、奮い立つ思いでいます。


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