郡和子のコラム

2009年06月24日(水)

取り調べの可視化

足利事件の再審が決定されました。

これで無実の罪で17年半も服役していた菅家さんが無罪になることが確実になりました。
今年4月に釈放されていた菅家さんも涙ながらに会見を行いました。
しかし、犯人とされた17年半は戻ってきません。

当時の有罪立証の柱だったDNA鑑定、導入後間もなくで専門家の中には危うさを指摘する声もありましたが、当時、捜査の場のみならずマスコミも、揺るがぬ証拠の一つとし、任意同行を求められた菅家さんを犯人と決めつけ、そして自白を引き出したとなると、凶悪犯として烙印を押しました。
猛省しなくてはなりません。

自白に導いた菅家さんの取り調べは、髪の毛を引っ張る、足で蹴飛ばされるなど暴行を伴うものだったそうです。

「死刑台から生還してまいりました」
宮城県松山町で1955年農家が全焼し焼け跡から一家4人が他殺体で見つかった、いわゆる「松山事件」の元死刑囚、斎藤幸夫さんが、84年に仙台地裁で再審無罪を勝ち取って、ようやく、支援者の前に姿を見せ放った最初のこの言葉を、そして、息子の無罪を訴え続け活動したヒデさんの「国民を犠牲にすることがあってはならない」の言葉の重さについて感じることを、以前、コラムで書かせていただきました。

斎藤さんの自白もまた、厳しい取り調べの中で強要されたものでした。

その斎藤さんもヒデさんも亡くなられましたが、いまだに菅家さんをはじめ冤罪はなくなりません。

取調の最初の段階から録画録音をするという「取調の可視化法」を成立させる以外に、冤罪の危険から市民を守る道はありません。そうでなければ、冤罪はなくなりません。

取調の可視化法は、参議院では可決され衆議院に送られていますが、衆議院では自民公明党の抵抗で審議さえされていません。
残念です。

マスコミの報道も検察発表に基づいた報道に終始し、司法の場でうけた人権侵害が、さらに社会でも、透明性・公平性を欠いたまま大きな人権侵害を生み出しています。

これらを防止し人権を最大限尊重する司法を取り戻すためにも、取り調べの最初からの可視化が不可欠だと思っています。 

最後に、今回の菅家さんと同じ不確実なDNA鑑定が採用された飯塚女児殺害事件の久間死刑囚の死刑が執行されたことに、多くの皆さんが「なぜ?」と大きな声を上げていただきたいと思っています。

冤罪を許さない。
二度と国民を犠牲にしてはなりません。


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