郡和子のコラム

2014年05月02日(金)

2014年の憲法記念日に

安倍総理の私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が、今月中旬にも報告書を発表する方向です。

それを受け、安倍総理は、集団的自衛権の行使容認を、内閣全体の容認を受けず事実上首相見解となる「政府方針」の素案に盛り込む、と、朝日新聞が報じました。(5月2日付)

 

時の総理の強い一存で憲法解釈を変えることが許されるのでしょうか。

 

ところで、「立憲デモクラシーの会」が発足しました。先月17日のことです。

 

憲法学者や政治学者、また社会学や人文学など、幅広い分野の著名な学者の方々50人が呼びかけ人となり、共同代表には、奥平康弘氏(東京大学名誉教授・憲法学)、山口二郎氏(法政大学教授・政治学)の二人が名を連ねています。

呼びかけ人は「解釈改憲」を目指す安倍政権の手法に反対する皆さんで、護憲派の方、改憲派の方もいらっしゃいます。

会の共同代表を務める山口二郎法政大学教授は、「政治の世界においては、今の自民党政権に対する対抗勢力が見当たらない。我々は政治の世界ではなく、知的な世界で対抗勢力を立ち上げなければいけない」。
「安倍政権は選挙で勝ち、『国民の付託を得たから憲法改正をする』としているが、選挙で勝ちさえすれば何をやってもいいという理解がデモクラシーそのものを破壊する可能性がある」と指摘しています。

 

自民党も、かつては懐の深さ、幅の広さがありましたが、今や、偏狭な集団になっているように見えます。だれも安倍さんへ声をあげません。本会議場で多くの自民党一年生議員が安倍総理に熱狂している様は、どう表現したらいいのでしょう、異様です。

 

 

昨年の今頃、安倍総理が目指していたのは「憲法96条」を変えることで、それを争点に議論がなされ、どうやらこれは難しいと判断したのだと思います。

しかし、参院選での勝利で「ねじれが解消」されたことにより、これが「決められる政治」として、96条改正よりもハードルを下げた内閣による「解釈改憲」に突き進んでいたわけです。

そして今回、更にこのハードルを下げ、一首相方針として、何としても集団的自衛権行使に道を開こうとしています。

 

 

憲法が権力を縛る「立憲主義」の考え方を真っ向から否定することへ私は強い危機感を持ちます。

 

今年は、平和憲法施行から67年目、気づいたら「ナチスの手口」で取り返しのつかない日本になりはしないか…。

じーっとしていられない憲法記念日です。

 

 

 


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