郡和子のコラム

2014年06月20日(金)

女性新ビジネスプランコンペティション

女性の起業活動をサポートしようと、あの東日本大震災後、日本政策投資銀行が立ち上げた事業があります。

DBJ女性新ビジネスプランコンぺティション。

大賞には最大1000万円の事業奨励金、そして受賞後一年、起業経験や事業に関する知見を持つ外部専門家の参画を得て、ビジネスプランのブラッシュアップ、企業・経営のノウハウのサポート、協力企業の発掘などを行うというものです。

第3回となるDBJ女性新ビジネスプランコンぺティションは、今月19日に東京で最終審査と表彰式レセプションが行われ、私も出席してご挨拶、起業家の皆さんと懇談をさせていただきました。

お聞きしたところ、この3年に合わせて1127の事業プランの応募があったそうです。女性の起業への関心の高さがうかがえ、またその情熱も伝わってきます。

実は、第1回のコンペの震災復興賞には、大震災の津波で自宅や事務所などほとんどが流された気仙沼の(有)オイカワデニムの及川秀子さんが選ばれていて、震災後立ち上げた新しいブランドも、日本だけでなく海外でも高い評価を得ています。

そして今年、被災地の宮城県から、お二人の女性起業家がこのコンペの最終選考に残りました。

気仙沼市の「(株)気仙沼ニッティング」の御手洗瑞子さん、手編みのセーター、カーディガンの企画・製造・販売をされています。

もう一人は、亘理町の「一般社団法人WATALIS」の引地恵さん。中古着物地によるリメイク雑貨製造販売事業に取り組み、地域の女性の就労モデルを作り出しています。

大賞は逃したものの、見事、お二人が第1回の及川さんに続く「震災復興賞」を受賞されました。

創業期には様々な苦労がつきものですが、経験の少ない女性たちの背中を押すよう民主党政権時、震災からの復興とも相まって女性の起業に力を入れ、政投銀のこのコンペにも、当時の枝野大臣や中川大臣らもコミットしました。

結婚や出産・育児、そして介護などで仕事を断念した女性たちが、自ら起業する動きは、前述したように活発です。

時間や働き方を自由にコントロールしながら働き続けることも可能だからでしょうし、顧客目線での新たなビジネスやイノベーションを生み出す力は、女性ならではの特徴で、経済のあらたな起爆剤になると期待しています。

 

ところで、民主党政権下で2010年12月に第3次男女共同参画基本計画を作り、取り組みの強化・加速が不可欠であると提唱した「女性の活躍促進」。女性の活躍状況の資本市場における「見える化」に関する報告書も取りまとめ、それが自民党政権に引き継がれています。

安倍総理はあたかも自分たちの政策だったように「女性活用」と言葉を変え、「すべての女性が輝く社会を目指す」とおっしゃいます。しかし一方では「長時間労働の抑制」や「男女共同参画」とは一切口にしたことがありません。また、閣僚全体で構成される「男女共同参画会議」は、政権が代わって一年半、たった一回しか開催されていません。

安倍総理は、自民党幹事長代理時代「過激な性教育・ジェンダーフリー教育に関する実態調査プロジェクト」の座長を務め「男女共同参画基本法」を問題視していた過去があり、だからこそ、やはり、「男女共同参画」とは言えないのでしょう。

均等法の改正もない、女子差別撤廃条約違反の勧告に応える法改正もない、残業代ゼロや集団的自衛権の問題で議論もさせない、異例の延長なしの通常国会が終わり、間もなく新しい成長戦略が閣議決定されるわけですが、経済成長のためという「女性活用」が、男女共同参画社会を目指すことになるのか、ハイクラスの女性たち限定の政策か、見極めねばなりません。

女性の分断や二極化を引き起こしはしないか、私は心配しています。


コラムカレンダー

  • 6

    << June. 2014 >>

    S M T W T F S
    « 5月   7月 »
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930  
  • 月別アーカイブ