郡和子のコラム

2006年01月21日(土)

自画自賛演説で良いわけない

小泉総理大臣の施政方針演説。
40分にわたるものだったが・・・。

小泉さんが進めてきた改革で、不良債権は減った、景気も良くなってきたのかも知れない。

冒頭
「政治は、一部の利益を優先するものであってはならず、国民全体の利益を目指すものでなければなりません」
まさに、そのとおり。

しかし、実際にやっていることは、国民全体の利益にかなったものだったろうか。

「官から民への流れを加速します」
「官民の競争を通じて優れたサービスを提供する市場化テストを実施したところ・・・」
と、更なる、公共サービスを民間へ移行するおつもりのようだ。

しかし、耐震強度偽装でも明らかになったように、検査を民間に委ねた弊害については何も触れない。
公共サービスとは何か、公が担うべきことは何か、一切ない。
民間に任せてよくなることと、困ることがある、その、区分けが出来ていない。
それで、本当にいいのだろうか。

また、たびたび、細かく、全国で頑張っていらっしゃる人々を例に上げられていたが、それは、あなたの、または政府の政策の効果によるものなのか。
否、あなたの政府の手柄ではない。その人や地方の頑張りだ。

男女共同参画については
「2020年までに社会のあらゆる分野において、指導的立場に女性が占める割合が3割になることを目指し・・・」
3割を目指すのに、あと14年も掛けるという。
女性の登用を急ぐことが、人口減少社会で不可欠である、のに。

外交・安全保障についても、
まったく訳が分からない。展望もない。

結びでは
吉田松蔭の孔子の言葉を引いた
「志士は溝壑に在るを忘れず」
つまり、志ある人はその実現のためには溝や谷に落ちて屍をさらしてもかまわないと常に覚悟している、
困難を厭わない心構えを説いた、
として、
努力せよ、と述べられたが、自身にその心構えは希薄で、
これらを国民に押し付け、屍になりつつある国民に対してはなんら救いの策は示していない。

自画自賛演説。
しかし、よくなったのは一部である。
むしろ、悪くなったほうが多いのに。

自助努力だけで生きろと言うのは、
政治責任を放棄していると言える。

国としてのあり方を示せない施政方針演説と受け止めた。

麻生外務大臣の演説では、イラク問題で、
イラクの政治プロセスは、今「胸突き八丁」に差し掛かっている
と、
演説にふさわしい文言か、ふさわしくないのか、
思わず、廻りの議員に確認したぐらいだ。

4人の演説でほほーッと思ったのは、谷垣大臣。

「構造改革の先にある社会は、
 弱肉強食の社会ではなく、
 個を確立した個々人が、
 互いに切磋琢磨し、競争しつつも、
 本来日本人がもっている家族や地域社会の『絆』の中で支えあっていく、
 活力と信頼に満ちた社会であることを示していく必要がある」

総理大臣より総理大臣のよう、だった。

小泉さんの自画自賛演説で、良いわけが、ない。


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